WAONCD-090
(2008年7月18日発売) Open Price

録音日:2007年5月20日〜22日
場所:アートコートギャラリー(大阪)

Producer, Engineer, Edit:小伏和宏
Assistant Director:綾部曜子
調律・楽器調整:加屋野木山



《DSD recording》
Microphone:Earthworks QTC-1mp
Method:One point stereo A-B
Pre-amp:Millennia Media HV-3C type I
Recorder:TASCAM DV-RA1000
Clock:Rosendahl nanosyncs
Monitor : Bakoon Products SCA-7511改 +Sennheiser HD580 w CLOU cable
PB Monitor : Waon Reference Monitor

《96kHz 24bit PCM editing》
DAW:Waon DAW mk III
DDC:dcs974
Monitor : Waon Reference Monitor



Cover design, Art work:才村昌子
http://www.saimura-masako.com/

■Profile
ラファエラ・ダンクザークミュラー
13歳からウィーン音楽大学にてハンス・マリア・クナイフスからリコーダーのレッスンを受ける。最優秀の成績で同大学を卒業。さらにアムステルダム音楽院にて、ワルター・ファン・ハウエに師事、演奏家ディプロマを取得して同音楽院を卒業。1989年にオランダ・ユトレヒトで行われたSONBUリコーダー・コンクールにて第一位を獲得したのをはじめ数々のコンクールに入賞。また、マレ・サイモン・リコーダー・カルテットをはじめ、数多くのアンサンブルのメンバーとして、演奏会、録音、放送など活発な活動をヨーロッパ各地で行っている。アムステルダム在住。

西谷尚己
桐朋学園大学卒業、同大学研究科修了。翌年よりオランダに留学し、デン・ハーグ王立音楽院をソリスト・ディプロマを得て卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバを宇田川貞夫、中野哲也、ヴィーラント・クイケンの各氏に師事。ネーデルランド・ダンスシアターのプロジェクトに出演するなど、オランダ各地でソリスト、通奏低音奏者として演奏活動を行い、2000年に帰国。日本各地で演奏活動を繰り広げている。

大塚直哉
東京芸術大学大学院チェンバロ専攻、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびオルガン科修了。「アンサンブル コルディエ」「バッハ・コレギウム・ジャパン」などのアンサンブルにおける通奏低音奏者として、またチェンバロ、オルガン、クラヴィコードのソリストとして活躍するほか、これらの楽器に初めて触れる人のためのワークショップを各地で行っている。チェンバロのソロCD「トッカーレ[触れる]」(ALM RECORDS)のほか録音多数。現在、東京芸術大学、神戸松蔭女子学院大学ほか非常勤講師、宮崎県立芸術劇場オルガン事業アドヴァイザー。公式サイトhttp://homepage3.nifty.com/utremi/

Raphaela Danksagmueller
Born in Ried, Austria. After completing her studies at the Wiener Hochschule fuer Musik und darstellende Kunst, cum laude, she continued studying recorder at the Conservatorium van Amsterdam with Walter van Hauwe. As a soloist and member of various ensembles Raphaela performed in The Purcell Room in London, the Metropolitan Museum in New York, the Cawaguchiko Hall in Tokyo, the Erasmushuis in Jakarta, at the Varna Summer Festival in Bulgaria, in the Izmir Concerthall in Turkey, the Concertgebouw Amsterdam. Next to Ziggurat she is a member of the Renaissance ensemble Mezza Luna, the Turkish/Dutch Anatolia Ensemble and Ensemble Thuraia. She was awarded prizes at the International Recorder Symposium Calw in Germany, the Early music Festival in Belgium and at the International Gaudeamus Competition in the Netherlands. In 2002 Raphaela was teaching at the Hochschule der Kuenste in Berlin. Since 2002 Raphalea has been studying duduk with Gevorg Dabaghian in Yerevan, Armenia.

Naoki Nishitani
Born in Shizuoka, Japan. After the concert activity as a choir boy, he started to study Viola da Gamba and Continuo with Sadao Udagawa and he got the Diploma at Toho Gakuen School of Music (studied with Tetsuya Nakano). Furthermore he studied with Wieland Kuijken in Den Haag. Now Nishitani is playing with Ensemble du Soleil, Coffee Cup Consort and other Ensembles in Japan and Europe.

Naoya Otsuka
After studying in Tokyo with Masaaki Suzuki and Yoshio Watanabe, Otsuka went to Amsterdam to study Harpsichord with Bob van Asperen and Organ with Jacques van Oortmerssen, As well as a solo performer he is quite active as a continuo player in the many ensembles, among them are Bach Collegium Japan and Ensemble Arion etc. In 2006 he was invited to give the concerts and make recording at Academia d'Archi Bolzano as a soloist of Double Concerto by C.P.E.Bach. Now Otsuka is teaching Harpsichord and Continuo at Tokyo National University of Fine Arts and Music, organ at the Kobe Shoin Women's University. http://homepage3.nifty.com/utremi

Photo by Kazuhiro Kobushi (Leica R8, Summilux-R 50mm/f1.4 II, Kodak Portra 400NC & Canon PowerShot G7)


■録音のこだわり(『レコード芸術』誌2008年10月号で優秀録音に選ばれました)
録音会場には、Yagi Art Management Inc.のオーナーである八木光惠さんのご好意で、同社のギャラリーであるアートコートギャラリーを使わせていただきました。ここの大展示室は日本ではほかに望めないくらいの、まるでヨーロッパの建物のようなすばらしい響きを持っています。以前、やはりここで収録した「クルムフォルツ作曲ハープの為の6つのソナタ(WAONCD-010)」がラジオで流れたとき、解説の評論家さんに「日本にこれだけの響きのところはないのできっと電気的な残響を加えた...」と言われてしまいましたが、そんなことはなくて全くナマなのです。今回ももちろん残響は加えていません。日本の多くのホールの残響特性と、ヨーロッパの建物の残響特性には拡散音場での高域減衰の量の点で随分違いがあります。ヨーロッパの録音技術で言うところに忠実にマイクセッティングをすると、日本のホールではたいていハイ落ち(高域が足りない)になります。ですので日本のホールではマイクの軸を幾分(随分)音源の方向に向けて高域を補うということをします。しかしここアートコートギャラリーでは、ヨーロッパの建物同様、音の混ざり合う空間へマイクの軸を向けます(今回高域補償の無いタイプのマイクを使っているので、上の写真のように少しだけ軸が音源に向いてはいますが...高域補償のあるマイクだとほぼ水平にセットする状況です)。結果として、普段ヨーロッパで活動されているラファエラさんが聴いても違和感の無い音に仕上がりました。展示物の都合で録音には使えないこともありますし、まわりの騒音を避けて夜間に録音しなくてはならないこともあって、毎回ここで収録するわけには行かないのですが、この場所の美しい響きをぜひお楽しみ下さい。時々演奏会もしますのでぜひ聴きにお越し下さい。もちろん常時素晴らしい現代アート作品の数々が展示されていますので、それをお楽しみになりに(あるいは懐確かな方はお求めにも!)いつでもお越し下さい。毛馬桜ノ宮公園の中なので、周囲の雰囲気もとても素敵です。
この会場でひとつ悩みの種は、演奏をする部屋と、われわれが録音をしている部屋との間に遮音が無いこと。演奏家へのプレイバックはスピーカーが使えますが、収録はヘッドフォンでのモニターになります。実は普段もヘッドフォンモニターは併用しています。この機会にご紹介しましょう。Sennheiserのヘッドフォンで、ケーブルをスウェーデンのCLOU社のものに換装したものを使っています。私はHD580を、アシスタントディレクタの綾部さんはHD650を使っています。しかし純正ケーブル付きのこれらとは全く別物の音がします。ずっと解像度が高く、剛性感の高い音です。普段音楽を楽しむためのものとしてはお薦めしませんが(そもそも自転車の鍵のワイヤーのような硬さのケーブルで装着感は最悪)、録音モニターには持って来いです。HD650はきれいな音ですが、HD580の方がモニターとしての能力は高いようです。ヘッドフォンアンプには熊本のガレージメーカーBakoon ProductsのSCA-7511のベースグレードにあちこち手を入れたものを使っています。とても音楽的なうえに高分解能で頼りになります。 (Photo by Moxam Kayano)