WAONXA-126
(2010年8月25日発売) Open Price

録音日:2008年9月5日〜7日
場所:神奈川県立相模湖交流センター

Producer, Engineer, Edit:小伏和宏
Assistant Director:土居瑞穂/廣海史帆
Tuning : 野神俊哉



《DSD recording》
Microphone:Earthworks QTC-1mp
Method:Stereo A-B
Pre-amp:Grace Design model 201
Recorder:TASCAM DV-RA1000
Clock:Rosendahl nanosyncs
Monitor : Waon Recording Monitor

《96kHz 24bit PCM editing》
DAW:Waon DAW mk III
DDC:dcs974
Monitor : Waon Reference Monitor



Cover design, Art work:才村昌子
http://www.saimura-masako.com/

■Profile
上尾直毅(フォルテピアノ)
東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を1991年に卒業後、チェンバロを本格的に学び始める。在学時ピアノを辛島輝治氏、チェンバロを山田貢、鈴木雅明、渡邊順生の各氏に師事する。1992年第6回古楽コンクールで「通奏低音賞」を受賞する。同年よりアムステルダム・スウェーリンク音楽院にてチェンバロをG・レオンハルト、A・アウテンボッシュの両氏に師事し95年ソリストディプロマを得て卒業。続いてデン・ハーグ王立音楽院にてフォルテピアノをS・ホーホランド氏に師事し1998年にソリストディプロマを得て卒業。同年P・ヘレヴェーヘ指揮、デン・ハーグ王立音楽院の古楽オーケストラとベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を共演し、たまたま居合わせたルーマニア出身の現代作曲家で古典音楽にも造詣の深いジェルジ・クルターク氏に絶賛される。1999年よりデン・ハーグ王立音楽院古楽器科の正式伴奏員を勤め、2000年から帰国する2001年まではオランダ室内管弦楽団のチェンバロ奏者も勤める。すぐれた鍵盤楽器奏者であるにとどまらず、バロック時代の宮廷バグパイプ「ミュゼット」を独自に研究し習得、その他、打楽器やバロックギターも演奏するなど、その活動は多岐にわたる。そのレパートリーは、バロック音楽はいうまでもなく、中世ルネサンスから古典派ロマン派音楽まで、驚嘆すべき広範囲にわたっており、自らの感性と音楽史的観点とを融合させた独自の世界を展開させている。

荒木優子(ヴァイオリン)
桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。同大学研究科修了。ヴァイオリンを辰巳明子氏、バロック・ヴァイオリンを若松夏美氏に師事する。モダンヴァイオリン奏者としてのみならず、バロック及びクラシカル・ヴァイオリンの演奏家としても非常に高く評価されており、「バッハ・コレギウム・ジャパン」をはじめ国内の様々な古楽オーケストラやアンサンブルの主要メンバーとして、数多くの演奏会やCD録音に参加している。

Naoki Ueo (Fortepiano)
In 1987, he was accepted at Tokyo National University of Fine Arts and Music where he studied piano with Teruji Karashima for four years, graduating in 1991. Naoki also began studying the harpsichord with Mitsugu Yamada, Masaaki Suzuki and Yoshio Watanabe. In 1991 he was awarded the prize for "Best Basso Continuo Player" at the International Early Music Competition held in Yamashina, Japan. In 1992, Naoki went to the Netherlands and continued his harpsichord studies with Gustav Leonhardt and Annecke Uittenbosch at the Sweelinck Conservatory in Amsterdam. In 1995 he graduated with "Uitvoerend musicus" (Soloists Diploma). From 1995, Naoki studied fortepiano with Stanley Hoogland at The Royal Conservatory in The Hague, and in 1997 he performed Beethoven's 3rd piano concerto op. 37 with the orchestra of the Royal Conservatory in The Hague, conducted by Philippe Hereweghe. This performance was highly praised by Romanian composer Gyorgy Kurtag. He completed his "Uitvoerend Musicus" for fortepiano in 1998. From 2000 until return to Japan in 2001 he played as a member of The Netherlands Chamber Orchestra (harpsichord). Mr. Ueo is not only a historical keyboard player but also known as a performer of the "musette de cour" (French court bagpipe in the 18th century), renaissance bagpipes and the baroque guitar.

Yuko Araki (Violin)
After graduating from Toho Gakuen High School, she was accepted at Toho Gakuen School of music where she studied modern violin with Akiko Tatsumi and baroque violin with Natsumi Wakamatsu. She earned a good reputation not only as a modern violinist, but also as a baroque and classical performer. She plays as a main member of various baroque orchestras and ensembles in Japan such as "Bach Collegium Japan", "Orchestra Libera Classica" or "Trovatori Levanti".

Photo by Kazuhiro Kobushi (LeicaR8, Leica Summilux-R 50mm/f1.4 II)


■録音のこだわり 録音セッションでのこだわりはCD盤の方をご覧下さい。
PC-Audio向けのオーディオ・データのアルバムとしては、「うつろな瞳」(WAONXA-096)に続く第2弾となります。いろいろとPC-Audioの発展をうかがっている間に、1年が過ぎてしまいました。今回も「うつろな瞳」同様、特に音質に注意して制作しています。マルチマイクで録って、しっかり音質調整をしたような録音を聴き慣れていると、このパッケージの音はこれでハイレゾ? と思われるかもしれません。しかし、CDでも再現できるような(あるいはチープな再生機器でも明瞭な音で聞こえるような)、目の醒めるような高音質をうたう録音と違って、このパッケージに収められている録音は、再生される方にも、ちょっとまじめに取り組んでいただかないと、その本領は発揮できないかもしれません。確かにヴァイオリンの倍音は、かなり高いところまでのびているので、ハイサンプリングによる広帯域のメリットをそのまま楽しめるのですが、フォルテピアノの倍音は、CD帯域でも何とか収まる程度のものです。では、ハイサンプリング化する意味は? それは、位相特性だと言えるでしょう。単に周波数帯域だけの話であれば、サンプリング周波数の半分程度の周波数まで再生可能というのはみなさんご存知の通り。ところが位相の再現性の話になると、どうやらサンプリング周波数の1/4〜1/5位の周波数までしか再現できないようなのです。つまりCDの44.1kHzというサンプリング周波数だと、10KHzそこそこくらいまでしか正しい位相では再生されないのです。倍音の領域は、位相が信用できないということですね。96kHzのサンプリングですと、何とか可聴周波数帯内は信用できる位相特性が確保できるようです。録音に使ったEarthworksのQTC-1は、位相特性の点でも優れたマイクなので、位相が正確に記録されています。そのあたりをふまえて、再生機器の位相特性に気を配ってセッティングしていただくと、このパッケージに収められた録音は、目の醒めるような空間を再現してくれます。あたかも演奏しているその場所にいるかのような録音です。空間を再現するのは位相の情報なんですね。ハイサンプリングのメリットは周波数帯域だけではなく、位相の点でも大きな優位があることを感じていただければ幸いです。ぜひじっくりとお楽しみ下さい。