WAONXA-298/299
(2016年8月3日発売) Open Price

録音日:2014年5月27日~30日
場所:滋賀県高島市立ガリバーホール

Producer, Engineer, Edit:小伏和宏
Conceptual Director:平野一郎



《5.6448MHz DSD recording》
Microphone:改良型金田式無指向性DCマイク 2013年 毛利忠晴製作
Method:Stereo A-B
Line amp.:Grace Design model 201
Recorder:TASCAM DA-3000
Monitor : Waon Recording Monitor

《192kHz 24bit PCM editing》
DDC:Weiss Saracon-DSD
Monitor : Waon Reference Monitor



Cover design:才村昌子
http://www.saimura-masako.com/
Cover Art : L'Après-midi d'un faune, Costume Design for Nijinsky, painted by Leon Bakst (Holdings of {BnF - Bibliothèque nationale de France)

■Profile
フロラン・シャレール(オーボエ)
フランス中部、クレルモンフェラン出身。アラン・ブランブリュードの元でオーボエを始める。パリ国立高等音楽院でジャク・ティス、フレデリック・ターディーにオーボエを、モーリス・ブルグ、ダヴィッド・ヴァルテールに室内楽を学び、2003年最優秀の成績で卒業。同年、UFAMパリ国際コンクール優勝。在学中よりエマニュエル・クリヴィヌが指揮するフランス・ユースオーケストラに在籍した後、リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団、イル・ド・フランス国立管弦楽団、ミュルーズ交響楽団等、多数のオーケストラに招聘される。2005年アメリカ、テキサスのフェルナンド・ジレ国際オーボエコンクールに優勝した際は、R.シュトラウスのオーボエ協奏曲のソリストとして、同地のオースティン交響楽団と共演。その卓越した演奏力を絶賛される。同年、佐渡裕氏によるオーディションに合格。兵庫芸術文化センター管弦楽団に入団のため来日。2006年より京都市交響楽団に在籍。現在は、オーケストラでの活動に加え、ソロ奏者、室内楽奏者としても幅広い活躍をみせている。東京チェンバーオーケストラ、大阪フィルハーモニーなど、各地で首席奏者として客演するほか、「アルボラダ木管五重奏」としてNHKFMラジオに出演、録音。「キョウトシモ」では、タップダンスとクラシック音楽の融合、というジャンルを超えた芸術の融合を見事に果たし、大好評を博した。2012年青山音楽賞受賞。2013年アフィニス夏の音楽祭に出演。2014年には、故郷クレルモンフェランを遠く離れ、「日本に渡ったフランス人の音楽家」として、彼の生い立ちや、音楽の軌跡に迫ったドキュメンタリーがフランスで放送され、大きな反響をよんだ。

トマ・デルクロー(ピアノ)
リヨン出身。6歳からピアノを始める。リヨン国立高等音楽院でピアノをロジェ・ムラロに、音楽書法をロイック・マイエに師事。最優秀の成績で卒業する。2003年メセナより奨学金を受給。同年、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭に参加し、クリスティアン・イヴァルディ、エマニュエル・ストロッセール、トリオ・ヴァンダラーと共演し、音楽に磨きをかける。2005年パリ国立高等音楽院で室内楽をクレール・デゼール、アミ・フラメール、ディアーナ・リゲティに師事。最優秀の成績を得て卒業。近年は、ソロ活動、室内楽奏者、作曲家としても精力的に活動をしている。コントラバス奏者クリストフ・ベローとの「キュプカ・デュオ」をはじめ、チェロ奏者ミワ・ロッソと「デュオ・レオス」、ピアニスト、ギョーム・レビーと「デュオ・ノクチュエル」を結成。各地で公演し、高い評価を得ている。日本でも、オーボエ奏者フロラン・シャレールと共に演奏活動を行っており、「ノクターン」「夢」「コスモス」の3作品を彼に献呈した。また、ミシェル・アルシャンボーや、ポール・ヴェルレーヌの詩から、子供たちに人気の高い童話まで、幅広い文学作品に曲をつけ、演奏するという試みも始めている。その他、バロックアンサンブルにも多数の曲を提供している。作曲家アンリ・デュティユを自宅に訪ねて会う機会にも恵まれ、デュティユの歌曲の一つ「サンフランシスコの夜」を演奏し、作曲家自身から様々な助言を得るという恩恵を受けることができた。2008年よりジュネーブ音楽院ピアノ科で教鞭をとっており、後進の育成、指導にも熱心にあたっている。

Florent Charreyre (oboe)
Florent Charreyre was born in Clermont-Ferrand, in the Auvergne region of France, where he studied with Alain Blanc-Brude. A brief timeline of some of his accomplishments follows: 2002:Completed his orchestral training as a member of the French Youth Orchestra under the direction of Emmanuel Krivine. 2003: Won First Prize in several oboe competitions, including U.F.A.M. (Union of Female Artists and Musicians, [also open to men]), Paris, and he obtained the Premier Prix in Oboe at the Conservatoire National Supérieur de Musique de Paris, together with Jacques Tys and Frédéric Tardy, 2003 and 2004: Played the oboe as guest principal with the Liege Philharmonic Orchestra in Belgium, and was invited for performances by the Flemish Radio Orchestra, the Orchestre National d'Ile de France, and the Orchestre Symphonique de Mulhouse. 2005: Won First Prize in the IDRS (International Double Reed Society) Fernand Gillet-Hugo Fox International Oboe Competition in the United States, where he performed as soloist in Richard Strauss’ oboe concerto with the Austin Symphony Orchestra. During this time, he also worked with David Walter and Maurice Bourgue in chamber music. He was selected by conductor Yutaka Sado to take part in his creation of the Hyogo Performing Arts Center Orchestra near Kobe in Japan.

Thomas Delclaud (piano)
Thomas Delclaud started playing the piano at the age of five in Lyon and later entered the Conservatoire National Supérieur de Lyon where he won two Premier Prix in the classes of Roger Muraro for piano and Loïc Mallié for composing. 2003: Obtained a grant from the Mécénat Musical Société Générale and participated in the Festival de la Roque d’Anthéron where he played with Christian Ivaldi, Emmanuel Strosser and the Wanderer Trio. The same year, he created his Melodies in the Russian style at the Amphitheatre of the Opera de Lyon. 2005: Won the Premier Prix in chamber music at the C.N.S.M. of Paris in the class of Claire Désert, Ami Flammer, and Diana Ligeti. He performs regularly in solo and chamber music with the Kupka Duo (with bassist Christopher Béreau), the Leos Duet (with cellist Miwa Rosso) and Noctuelles Duet (with pianist William Levy). Since 2008, this recognized teacher teaches the piano at the Music Conservatory of Geneva. He has composed and created several works: a cycle of Melodies on poems by Michel Archambault; Effet de Nuit, based on a poem by Verlaine; pieces for baroque ensemble and a musical tale for children entitled La Fameuse Invasion de la Sicile par les Ours, which was recently shown in Geneva. He had the chance to meet Henri Dutilleux and to play one of his songs: San Francisco Night. He regularly performs in France and in Japan with oboist Florent Charreyre. Three of his works are dedicated to Florent: Nocturne (2005), Rêves (2011) and Cosmos (2013).

Photo by Kazuhiro Kobushi (FUJIFILM X-E1, Leica Summilux-R 50/f1.4 II with Metabones Speed Booster adapter)


■録音のこだわり
このレコーディングのセッティングはご覧の通りとてもオーソドックスです。やや左寄りのピアノの前にオーボエがセンターやや右寄りで来ると言う配置もごく普通です。楽器の音量も比較的大きいし、普通のマイクでもなんら問題なく録れるシチュエーション。しかしそこにDCマイクを投入すると残響の密度感が変わってきて、残響の尾っぽまで余すことなく収録できている感じです。お2人のご希望もあって日本で聴かれる録音としてはやや残響多めかもしれません。残響を後から電子的に足したのでないことは、ときどき聞こえるオーボエのメカの音には残響が乗らず直接音だけが聞こえることが証拠です。オーボエは管内共鳴だけでは不十分で豊かな残響を伴わないと本来の音色になりません。ピアノにしても最近は近づいて弦と響板の音だけを録っている例が多いですが、弦の響きがフレームを通ってボディー全体に回った音が楽器本来の音なので、やはり離れたところから豊かな残響とともに録る方が良いのです。そんなことしたら響くばっかりで何弾いているかわからないと言われるかもしれませんが、ちゃんと楽器の音を止められる腕利き奏者にとっては問題ありません。フロランさんもトマさんもその点楽器のコントロールがとてもうまく、多くの残響の中でもディクションが明快な音楽を奏でています。DCマイクはそう言った奏法の良さをさらに引き立てています。2つのマイクの左右の間隔はカメラの標準レンズの画角のようにとらえられる間隔だけ離しているので、音像は左右のスピーカーの間にアップでもない引きでもない自然な広がりを持って再現されるはずです。最近は中望遠レンズ的なややアップな録り方をされたものにもしばしば出会います。近めで録っているので音像的にもその方が違和感がないからなのでしょうが、やはり豊かな残響の中、適度な距離感で自然な視野角の中に音像が広がるような録り方が、結局何度も聴く時に飽きが来ないのではないかと思っています。今回マイクと音源(楽器)との距離も、DCマイクのマイクカプセルSCHOEPS MK2Hが最も得意とする距離だったので、全体としてとても音がきれいです。メロディアスで親しみの持てる曲ぞろいですし、お2人の演奏も表情豊でおもしろく、音もとてもきれいと来ていますから、現代曲ファンのみならず、現代曲はわけわかんないからやだとか言われている方もきっと楽しんでいただけると思います。

Photo by Kazuhiro Kobushi (Panasonic LUMIX GX1, OLYMPUS Zuiko Digital 14-42mm/f3.5-5.6 with 4/3-m4/3 adapter)