Current transmission microphone system
Current transmission microphones with SCHOEPS capsules (MK2H, MK2S, etc) and a preamplifier, designed and manufactured by Tadaharu Mouri, 2015, Tokyo, 2016 modified
It's the PureT Records products.

毛利忠晴さんが改良型金田式DCマイクを納入してくださったときに、以前よりずっと構想を抱いていた電流伝送で音声をバランス伝送できるマイクができないかというお話をさせていただきました。幸いその頃すでに毛利さんはバランス電流伝送マイクの回路シミュレーションなどをされていたようで、すぐにやってみましょうということになりました。電流伝送は負荷抵抗が小さく電圧は殆どかからず、電流の変化だけで信号を伝える方式です。電流源のインピーダンスは非常に大きいので、外からノイズ(電圧変化)が入ってきても伝送路内ですぐに消費されて熱に変わり消えてしまいます。また電気接点などで異種金属の接触部があっても、電圧が殆ど変化しないので非直線性の影響を受けず歪の発生が少なく、接触抵抗が少々あっても電流源からはどんどん電流が来るので影響は無視できます。またこれは作ってからわかったことですが、マイクケーブルにほとんど電圧が加わらないと、ケーブルの物理的形状が電磁気力で変化せずケーブル固有の音がしない、つまりケーブルの種類による音質変化が少ないのです。これらの特徴によって、電流伝送方式では例えば音楽ホールにおいて三点吊り装置以降の多くの接点や、質が良いとは限らない長い電線路など、通る伝送路の質の影響をほとんど受けずに、高い信号対雑音比(S/N比)で音声信号を伝送できます。つまり、マイクの振動板が拾った音を質を損なうことなく伝送するポテンシャルが高いということです。作っていただいた実機もその特徴を存分に発揮して、振動板と録音機が直結しているかのようなスピード感とエネルギー感を持った質の高い音がし、振幅が大きくなる低音楽器や大編成物に使っても音が曖昧にならずダイナミックに表現します。マイクカプセルは改良型金田式DCマイク同様ショップス(Schoeps)社の物を付け替えて使用できるようになっています。成極電圧発生用の低雑音高安定DC-DCコンバータは2015年に改良型金田式DCマイクに搭載したのと同じものです。巧妙な設計により電源は一般的な48Vのファンタム電源単一で動作し、通常のバランス・マイク/ラインケーブルで信号が送れ、一般的な音響機器の入力に抵抗を1本かませて電圧変換するだけで普通のマイクと混在使用もできる高い互換性を有しています。とは言え電流伝送の本来の旨味を利用するには低い入力インピーダンスで受けてやる必要があるので、電源と高音質のアッテネータを備えた専用の電流ー電圧変換(トランスインピーダンス)プリアンプも作ってもらいました。A-Bステレオだけでなく、デッカツリーやスクエアー、あるいはスポットマイクとしてなど様々なマイクアレンジに対応するよう、マイクは4本、プリアンプも4入出力対応となっています。改良型金田式DCマイクとは音質傾向が異なり使い勝手も異なるので、録る対象に応じてうまく補完しあって使っていけそうです。なおこの電流伝送マイクシステムは、毛利さんが主宰するPureT Records(ピュアートレコーズ)から一般市販されます(受注生産)。

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