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WAON RECORDS



詳細情報

ジャケットイメージ

J.S.バッハ 平均律クラヴィーア 第2巻
Das Wohltemperirte Clavier II : BWV870-893

大塚直哉(ポジティフオルガン)

WAONCD-390/391/392
63min + 54min + 41min Stereo / 3CD(HQCD) 2022年7月29日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956398
WAONCD-390/391/392 / 〜Hi-Res 2022年10月21日配信開始 JAN/EAN 4560205956398
 Apple Music / iTunes 2022年9月14日配信開始 / Naxos Music Library Japan 2022年11月4日配信開始
WAONCD-390G/391G/392G(海外版) / 〜Hi-Res 2022年10月21日配信開始 JAN/EAN 4560205958422
 ※配信サービスの料金は、各配信サービスのサイトでご案内をご確認下さい。

解説:大塚直哉(日本語、英語)

レコード芸術誌〈特選盤〉 Stereo誌「この音を聴け!」〈推薦〉高崎素行氏選

その完成から300年となる大バッハの遺産「平均律クラヴィーア 第1巻」に続き、古楽鍵盤楽器のオーソリティ大塚直哉さんが、彩の国さいたま芸術劇場所有のガルニエ作ポジティフオルガンで演奏した「平均律クラヴィーア 第2巻」全曲を収録。この大曲をポジティフオルガンで演奏した録音は少なく、第1巻、第2巻を通して全曲を収めた例は希少。オルガンで演奏する意義を問う、緻密に構築された名演です。大塚直哉さん自身による解説も読み応え十分。欧文タイトルは、バッハの出版譜の表記に則ったもの。電流伝送マイクペアとDSDによる高音質録音。


[収録曲目]

  • CD1
    1. 前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調 BWV 870
    2. 前奏曲とフーガ 第2番 ハ短調 BWV 871
    3. 前奏曲とフーガ 第3番 嬰ハ長調 BWV 872
    4. 前奏曲とフーガ 第4番 嬰ハ短調 BWV 873
    5. 前奏曲とフーガ 第5番 ニ長調 BWV 874
    6. 前奏曲とフーガ 第6番 ニ短調 BWV 875
    7. 前奏曲とフーガ 第7番 変ホ長調 BWV 876
    8. 前奏曲とフーガ 第8番 嬰ニ短調 BWV 877
    9. 前奏曲とフーガ 第9番 ホ長調 BWV 878
    10. 前奏曲とフーガ 第10番 ホ短調 BWV 879
  • CD2
    1. 前奏曲とフーガ 第11番 ヘ長調 BWV 880
    2. 前奏曲とフーガ 第12番 ヘ短調 BWV 881
    3. 前奏曲とフーガ 第13番 嬰ヘ長調 BWV 882
    4. 前奏曲とフーガ 第14番 嬰ヘ短調 BWV 883
    5. 前奏曲とフーガ 第15番 ト長調 BWV 884
    6. 前奏曲とフーガ 第16番 ト短調 BWV 885
    7. 前奏曲とフーガ 第17番 変イ長調 BWV 886
    8. 前奏曲とフーガ 第18番 嬰ト短調 BWV 887
  • CD3
    1. 前奏曲とフーガ 第19番 イ長調 BWV 888
    2. 前奏曲とフーガ 第20番 イ短調 BWV 889
    3. 前奏曲とフーガ 第21番 変ロ長調 BWV 890
    4. 前奏曲とフーガ 第22番 変ロ短調 BWV 891
    5. 前奏曲とフーガ 第23番 ロ長調 BWV 892
    6. 前奏曲とフーガ 第24番 ロ短調 BWV 893

[演奏者プロフィール]

大塚直哉 おおつか なおや
東京に生まれる。ビクター少年合唱隊にて音楽の基礎教育を受けるほか、ピアノを原田 稔 、高橋泰子、岡野寿子の各氏に師事。東京藝術大学楽理科を経て、同大学院チェンバロ専攻を修了(博士:音楽)。また、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびオルガン科を卒業。これまでにチェンバロを渡邊順生、鈴木雅明、小林道夫、B.v.アスペレン(Bob van Asperen)、オルガンを今井奈緒子、早島万紀子、P.v.ダイク(Pieter van Dijk)、W.ディーペンホルスト(Wim Diepenhorst)、J.v.オールトメルセン(Jacques van Oortmerssen)、廣野嗣雄、クラヴィコードをメノ・ファン・デルフト(Menno van Delft)の各氏に師事。1999年に帰国後は、東京を拠点にチェンバロ、オルガン、クラヴィコードの奏者として活発な活動を行うほか、これらの楽器にはじめて触れる人のためのワークショップを各地で行っている。また、近年では「メサイア」(ヘンデル)、「ロ短調ミサ曲」(バッハ)などのバロック期の声楽作品を中心とする指揮活動でも高い評価を得ている。現在、東京藝術大学音楽学部教授、国立音楽大学非常勤講師、宮崎県立芸術劇場および彩の国さいたま芸術劇場オルガン事業アドヴァイザー。日本チェンバロ協会、日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会各会員。NHK FM『古楽の楽しみ』ご案内役。

Photograph by Kazuhiro Kobushi


[使用楽器]

Positiv Organ, built by Garnier in 2000, C-d3, 4 stops
Temperament : Garnier No.16, a=440Hz
彩の国さいたま芸術劇場所有

Photograph by Kazuhiro Kobushi


[Recording Data]

録音日時・場所
2020年7月1日〜4日/2021年2月9日〜11日 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
[ 5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
使用マイク
PureT Records 電流伝送型マイクロホン Schoeps MK2H 無指向性カプセル
設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2018年バージョン
セッティング
Pair microphones A-B stereo
プリアンプ
PureT Records PT-CMP01
設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2016年バージョン
ADコンバータ
Mytek Digital Brooklyn ADC
レコーダー
TASCAM DA-3000
マスタークロック
Grimm Audio CC2
DSD to PCM converter
Weiss Saracon-DSD
  • Excutive Producer: Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Recording & Editing: Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Assistant Director: Mikina Yamashita 山下実季奈
  • Organ maintenance & Tuning: Matthieu Garnier マチュ・ガルニエ
  • Translation: Masaomi Yanagisawa 柳沢正臣(解説)/Yuki Ishiwata 石渡悠起子(プロフィール)
  • Cover design: Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
  • Special Thanks : Saitama Arts Foundation 埼玉県芸術文化振興財団/Saitama Arts Theater
    彩の国さいたま芸術劇場/Chikako Abe 阿部千佳子(S.A.F.)

[録音のこだわり]

「平均律クラヴィーア 第1巻」に続き、同じ会場、同じ楽器で、大塚直哉さんが演奏する「第2巻」全曲を収録しました。第1巻に比べて長い曲が多く、1回のセッションでは収録しきれず、2020年7月と2021年2月の2回に渡る収録です。第1巻から通して同じ音場、音質でお聞きいただけるように、2019年の第1巻収録の際に、楽器の位置、マイクの位置、高さ、角度などを事細かに記録してありましたので、ほぼ違和感なく第1巻、第2巻のすべてをお聞きいただけるのではないかと思います。これだけ手間と時間がかかりますので、第1巻と第2巻両方の全曲を収録されている例がそもそも多くはないのに、それをさらにポジティフオルガンでとなると本当に例が少なく、国内ではKAMOCSレーベルの小沢さちさんの例くらいしか見当たりません。この両方が弊社の録音ということですので、よほどこの曲のこの編成にご縁があるのでしょう。広大なホールでの収録ですので、その空間の広がりを活かすべく、弱広域補正型の無指向性カプセルSchoeps MK2Hを装着した電流伝送マイクで収録しました。オルガンから3m30cmほど離れた位置に60cm幅に離した2本のマイクを置いて録音しています。電流伝送マイクの音の検出能が高いので、もっと近くで録っているように聞こえるかもしれません。実は第1巻に比べて第2巻は和音の構成や旋律の重なりがより複雑で、そのために倍音の絡みも複雑となり、やややかましく聞こえてきます。そこで、第1巻の収録時には外していたオルガン正面の化粧グリルを、第2巻の収録でははめたままにしています。僅かなことですが、これで幾分聞きやすくなっていると思います。第1巻の収録時のモニタールームは舞台階上の楽屋に設置していたのですが、第2巻の収録はちょうど新型コロナ感染の時期と重なってしまいましたので、クローズの部屋で皆が集まることが許されず、結局オープンな空間である舞台脇のアーティストラウンジに設営しました。もともと音を聞くような空間ではないので、毛布で響きを止めたり部屋を斜めに使ったりといろいろ大変でした。
この平均律クラヴィーアにおいて、どのような調律をしたかは重要です。第1巻の表紙に書かれた渦巻き模様から解明されたリーマンの調律が頻繁に使われますが、チェンバロの減衰音に対し、オルガンの持続音の場合、それが必ずしも具合良くありません。そこで今回も第1巻の時同様、「ガルニエの16番」。そう、調律をしてくれたマチュ・ガルニエさんが使っているチューナーの16番目のメモリーに入っている調律です。これはガルニエ一家が今までの現場の中で具合良い設定を積み重ねてきたものを侃々諤々議論してできあがったものだそう。ノウハウが詰まった具合の良い調律なのです。結果的にNeidhardt Großstatとほぼ同じということらしいのですが、オルガンに良く合った具合の良い調律であることは間違いありません。
第1巻の2枚組に対し、演奏時間の長い第2巻はどうしても3枚組になってしまいました。しかし、多くの方にお楽しみいただけるよう、第1巻と第2巻はほぼ同じ市中価格になるよう努力しました。第2巻はかなりなボーナスプライスです。ぜひたっぷりとお楽しみください。

Photograph by Kazuhiro Kobushi