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WAON RECORDS



詳細情報

ジャケットイメージ

ピアノフォルテ・イン・グリーン

田中 綾(ピアノ)

WAONCD-520/521
45min + 40min Stereo / 2CD(HQCD)DUOケース 2022年10月10日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956527
WAONCD-520/521 / 〜Hi-Res 2022年12月2日配信開始 JAN/EAN 4560205956527
 Apple Music / iTunes 2022年10月10日配信開始 / Naxos Music Library Japan 2022年12月16日配信開始
WAONCD-520G/521G(海外版) / 〜Hi-Res 2022年12月2日配信開始 JAN/EAN 4560205958439
 ※配信サービスの料金は、各配信サービスのサイトでご案内をご確認下さい。

解説:サボー・オルショヤ/マヌエラ・アントニウ/平野一郎/田中 綾(日本語、英語)

レコード芸術誌〈準特選盤〉 

田中 綾は、鳥のさえずりや動物の鳴き声のような音を口ずさみながら舞台に裸足で現れ演奏するピアニスト。ハンガリーのコダーイ音楽研究所へ留学した際に、トランシルヴァニア地方をあちらこちらと旅したことで多くの民俗学的文化に触れた。その経験は彼女の音楽表現に大きく取り入れられている。文化や伝承を作曲に生かす、中央ヨーロッパの作曲家バルトーク・ベーラとレオシュ・ヤナーチェク、そして日本の平野一郎の作品から、稀にしか演奏されない曲も含む名曲の数々を、深い理解とともに、人を虜にする美しく大胆な表現で収めたピアノソロアルバム。電流伝送マイクペアと5.6MHz DSDで収録し、ワオンレコード初の384kHz 24bitマスタリングした高音質録音。


[収録曲目]

CD 1

  • 1. 歌を覚える鳥のソナチネ(2012) 平野一郎
  •  草陰の小径にて 第1集(1901~1908) レオシュ・ヤナーチェク
    1.  Ⅰ.われらの夕べ
    2.  Ⅱ.散りゆく落ち葉
    3.  Ⅲ.一緒においで!
    4.  Ⅳ.フリーデクの聖母マリア
    5.  Ⅴ.彼らはツバメのように喋りたてた
    6.  Ⅵ.言葉もない!
    7.  Ⅶ.おやすみ!
    8.  Ⅷ.そんなにひどく怯えて
    9.  Ⅸ.涙ながらに
    10.  Ⅹ.フクロウは飛び立たなかった!
  • 12.白象の夢 ~ 黒鍵と白鍵のエチュード~ *オリジナル・ヴァージョン(2006) 平野一郎

CD 2

  •  ソナチネ(1915) バルトーク・ベーラ
    1.  Ⅰ.バグパイプ吹きたち
    2.  Ⅱ.熊の踊り
    3.  Ⅲ.フィナーレ
  • 4. セーケイ人たちとの夕べ(1908) バルトーク・ベーラ
  • 5. 豚飼いの踊り(1908~1909) バルトーク・ベーラ
  •  ピアノ・ソナタ 1905年10月1日 街頭にて(1905) レオシュ・ヤナーチェク
    1.  Ⅰ.予感
    2.  Ⅱ.死
  •  二つの海景(2004~2011) 平野一郎
    1.  ♂:怒れる海民の夜(2007/2011)
    2.  ♀:祈りの浜(2004)

[演奏者プロフィール]

田中 綾 たなか あや
丹後の宮津にて6才よりピアノを始める。恩師、辻阪乙絲子に学ぶ。作陽音楽大学ピアノ科卒業後、故・西内玲の声楽クラス専属ピアニスト、四国学院大学非常勤講師を経て、2001年にハンガリーのコダーイ音楽研究所へ留学。ピアノをサボー・オルショヤ、民俗音楽をコダーイの弟子イットゼーシュ・ミハーイ(2018年6月12日没)に師事。在学中、シャロルタ・コダーイ奨学金、コダーイ財団奨学金を受給。ボヤイヤーノシュ・ギムナジウム合唱団の専属ピアニストとしてヨーロッパ各地へ演奏旅行。イットゼーシュ・ミハーイ、合唱指揮者でコダーイ研究所創設ディレクターのエルデイ・ペーテル両氏の推薦により、スロバキアでの国際コダーイ会議に出席、「21世紀の日本でのコダーイ哲学の可能性について」スピーチを行う。コダーイ研究所修了リサイタルにて平野一郎「祈りの浜」を委嘱・初演。2016年やわた市民音楽祭の「八幡大縁起」初演にて合唱団のコレペティトゥアをつとめる。2018年ラ・ヴェリテ与謝公演に出演、「歌を覚える鳥のソナチネ」を初演。2019年よりイリーナ・メジューエワに師事。ピアノリサイタル「草陰の小径にて」を2020年7月に音楽ホール奏美(大津市)、同11月に宮津会館(宮津市/ 2021年3月で閉館)にて開催。宮津会館閉館直前の2021年3月、作曲家・平野一郎の世界2021「海の聲~ほろびても滅びえぬもの~」に合唱団の練習ピアニストとして参加、合唱団員として、幻の校歌「天かける橋」を初演。

Photograph by Kazuhiro Kobushi


[使用楽器]

Steinway & Sons D-274 高島市立ガリバーホール所有


[Recording Data]

録音日時・場所
2021年6月15日〜17日 高島市立ガリバーホール
[ 5.6448MHz DSD Recording & 384kHz 24bit Editing ]
使用マイク
PureT Records 電流伝送型マイクロホン Schoeps MK2H 無指向性カプセル
設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2018年バージョン
セッティング
Pair microphones A-B stereo
プリアンプ
PureT Records PT-CMP01
設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2016年バージョン
ADコンバータ
Mytek Digital Brooklyn ADC
レコーダー
TASCAM DA-3000
マスタークロック
Grimm Audio CC2
DAコンバータ、オーディオ・インターフェース
Mytek Digital Brooklyn DAC with JS PC Audio UOC3-R Pro USB cable
DSD to PCM converter
Weiss Saracon-DSD
  • Excutive Producer: Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Recording & Editing: Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Artistic Advisor: Hirano Ichirô 平野一郎
  • Piano regulation and tuning: Ota Eiji 大田英史
  • Translation: Yuki Ishiwata 石渡悠起子
  • Cover design & Etching works: Masako Saimura 才村昌子
  • Photograph: Hirano Ichirô 平野一郎/Tanaka Aya 田中 綾/Szabó Orsolya サボー・オルショヤ

[録音のこだわり]

こだわりという点では、この録音は聴きどころ満載です。まず調律師の大田さんにはもうこれ以上ないというくらいに緻密に楽器を調整してもらいました。裸足でペダリングし、繊細なタッチからダイナミックな強打まで繰り出す田中綾さんの演奏をいかに十二分に引き出せるかがポイントだったからです。調律が合っているなんて言うのはもう当たり前。うんと高い倍音まで濁りなく共鳴させてくれています。5.6MHz DSDは、それを余さず取り込んでいますが、編集のためにPCMに落とす際、いつもの192kHzのサンプリングでは十分に倍音が再現できず、色々手は尽くしたものの、結局384kHzまでサンプリングをあげなくてはならなくなりました。ワオンレーベルとしては初めての384kHz 24bit PCMでの編集です。最終、CDフォーマットに落とすのも、色々なパラメータを変えながら何度も何度も変換をかけて、納得がいったマスターができるまでには編集が完了してから1ヶ月も経っていました。楽器の鳴りについては曲ごとにその表現に合った鳴りになるように調整してもらっています。プリペアードにするとかと言った小細工をするのではなく、ただ、入力に対する楽器の反応の仕方を調整してもらっているだけです。田中綾さんのタッチに合わせて、ピアノが丸い音になったり、澄んだ音になったり、鉄骨の音が聞こえてきたり、あるいは倍音のバランスが変わることで距離感が変わったりするのがお聞きいただけるでしょう。ちなみに全曲を通してピアノとマイクの位置関係は一切変わっていません。まるでセッティングを変えているかのように聞こえるでしょ? こんなにも音の色彩は演奏者と調律師の共同作業によって豊かに変化へんげするのです。これはピアノの調整が非常に高いレベルで行われなければ生きてこないことです。アドバイザとして参加くださった作曲家の平野一郎さんのアドバイスにも助けられて、どの曲もテイクを重ねるにつれてどんどん色合いが鮮やかに、生き物のようにくねくねとその表情を変えていきました。演奏を楽しんで頂く裏にそのような様々な積み重ねがあります。
ピアノの楽器としての共鳴の精度が上がると、共鳴のエネルギも大きくなって、しっかりしているはずの舞台面が一緒に鳴り出してしまうことがあります。写真でも一つ見えていますが、舞台の鳴りの腹の部分に重しを置いて鳴きを止めています。ピアノは大きな楽器なので、マイクセッティングもおおらかで良さそうな気がしますが、実は筐体の中で複雑に音が響き合うために、小さな楽器に比べてもピンポイントにマイクを向けてやる必要があります。左右のマイクの高さも結果的に微妙に変わってくるので、いつものステレオバーは使わず、マイクを1本ずつ2本のスタンドに分けてセッティングしています。電流伝送マイクは取り付けネジが固定されていて単独で向きが変えられないので、スタンドのトップにLINHOF社の大型ボールヘッド雲台を取り付けそれにマイクを取り付けています。剛性を保ちつつ自由に向きが調整できます。写真ではわかりにくいですが、左側のマイクが僅かに背が低く、少し下をむいています。これでピアノ全体の響きがうまく収録できました。時間歪みの少ないシステムでお聞きいただくと、澄んだ音のピアノが、スピーカーの間の奥の空間に浮かび上がると思います。前に音が出てきちゃう場合は信号ライン及び電源ラインの絶対位相をご確認ください。電流伝送マイクの特性でノイズは極小です。2枚のディスクいずれも最後の平野さんの作品の最後はピアノの音が自然になくなるまで鳴らしておく指示になっているのですが、さて、消え入る先はどこまで聞こえますか? 聞こえてないと、このCD、演奏終わってからも長々回ってるね?ってことになります。音楽ファンにとても、オーディオマニアにとっても楽しめるアルバムです。サボー・オルショヤさんとマヌエラ・アントニウさんの文章も素敵ですし(石渡悠起子さんが上手に翻訳してくださっています)、田中さん平野さんによる曲目紹介もただの解説ではないので、ページ数が今までのアルバムで最多ですが、読み物の方もぜひお楽しみください。才村さんの銅版画も素敵でしょ?
Photograph by Kazuhiro Kobushi