詳細情報
J.S.バッハ 平均律クラヴィア曲集 第1巻
小沢さち(オルガン)
KAMOCS ORG-1702 / 69min+73min Stereo / 2CD 2015年12月22日発売
販売:かもっくす(アルプレー扱い) 税別本体¥2,778 JAN/EAN 4560205950044
解説:藤原一弘
レコード芸術誌〈特選盤〉
小沢さちさんは、本番間近の合唱団のために「ロ短調ミサ」「マタイ受難曲」を半音低く弾くという離れ業をさりげなく披露してくれる人。その超絶技巧を誇るでもなく、華やかなスポットライトを浴びるでもなく、作曲家の真実に近づくための内面的な修行を日々の営みとする人。バッハの魂を訪ねる巡礼の伴侶は、慣れ親しんだピアノではなくポジティヴオルガン。峻厳にして絶美! 孤高の精神性、揺るぎない信仰心が、超優秀録音によって余すところなく記録されたことを心より歓びたい。(福島章恭)
[収録曲目]
- CD1
- 前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調 BWV 846
- 前奏曲とフーガ 第2番 ハ短調 BWV 847
- 前奏曲とフーガ 第3番 嬰ハ長調 BWV 848
- 前奏曲とフーガ 第4番 嬰ハ短調 BWV 849
- 前奏曲とフーガ 第5番 ニ長調 BWV 850
- 前奏曲とフーガ 第6番 ニ短調 BWV 851
- 前奏曲とフーガ 第7番 変ホ長調 BWV 852
- 前奏曲とフーガ 第8番 変ホ短調/嬰ニ短調 BWV 853
- 前奏曲とフーガ 第9番 ホ長調 BWV 854
- 前奏曲とフーガ 第10番 ホ短調 BWV 855
- 前奏曲とフーガ 第11番 ヘ長調 BWV 856
- 前奏曲とフーガ 第12番 ヘ短調 BWV 857
- CD2
- 前奏曲とフーガ 第13番 嬰ヘ長調 BWV 858
- 前奏曲とフーガ 第14番 嬰ヘ短調 BWV 859
- 前奏曲とフーガ 第15番 ト長調 BWV 860
- 前奏曲とフーガ 第16番 ト短調 BWV 861
- 前奏曲とフーガ 第17番 変イ長調 BWV 862
- 前奏曲とフーガ 第18番 嬰ト短調 BWV 863
- 前奏曲とフーガ 第19番 イ長調 BWV 864
- 前奏曲とフーガ 第20番 イ短調 BWV 865
- 前奏曲とフーガ 第21番 変ロ長調 BWV 866
- 前奏曲とフーガ 第22番 変ロ短調 BWV 867
- 前奏曲とフーガ 第23番 ロ長調 BWV 868
- 前奏曲とフーガ 第24番 ロ短調 BWV 869
[演奏者プロフィール]
小沢さち おざわ さち
桐朋学園大学演奏学科ピアノ専攻卒業。弦楽科伴奏研究員修了。故江戸弘子氏、ラントシュ・イシュトヴァン氏に師事。府中市民講座にてオルガンを学び、その後、数々の学習会に参加。東京ジンクフェライン専属ピアニストとして、主に宗教曲の合唱伴奏、また、バッハ平均律全曲演奏Ⅰ/Ⅱ、リストの祈りシリーズなどの宗教曲分野でも好評を得ている。伴奏、デュオ、室内楽、ソリストとして幅広く活躍している。桐朋学園大学付属音楽教室諏訪教室講師。
[使用楽器・調律]
Paul Ott 1973, J.G.Neidhardt 1724
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2015年4月21〜23日 日本基督教団荻窪教会
- [ 2.8224MHz DSD Recording & 176.4kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- MBHO MBP604/KA1100K
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- プリアンプ
- Grace Design model 201
- レコーダー
- TASCAM DA-3000
- DSD to PCM converter
- Weiss Saracon-DSD
- Recording Director, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Assistant Director : Masaru Ishii 石井 賢
- Organ regulation & Tunning : Hiroyuki & Ichiro Mochizuki 望月廣幸、望月一郎(望月オルガン)
- Cover design & Photograph : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
[録音のこだわり]
ポジティフオルガンによるバッハの平均律と言うのはありそうであって意外とあまり例を見ません。しかも調律はNeidhardt 1724という古典調律です。不等分な調律ですから調性によってビートの少ない美しい響きになったり、常にビートの聞こえる響きになったりするわけですが、チェンバロやクラヴィコードのように響きが減衰せず音が持続するので、空間での自然倍音によるビートの減少(ビートを出している倍音よりも自然倍音の方が長く空間に響きとして残りやすい)を利用しないと聴き辛いものになってしまいます。幸いに荻窪教会の礼拝堂は広くはない空間でありながらとても美しい響きを持っていましたので、その響きの中の自然倍音も取り込みながら、オルガンの音像を適切なサイズになるように注意してセッティングしました。マイクはこういう複雑な倍音のものを得意としているMBHOのラージダイアフラムのマイクを使いました。楽器の持つ可憐な響き、小沢さんの丁寧な音楽の組立と優れた演奏技術、そして礼拝堂の美しい残響が相まって、とても愛らしい親しみのもてる録音に仕上がったと思います。ぜひお楽しみください。