詳細情報
やすらぎのガット 7つの響き
7つの総ガット弦リュートによる名曲集
櫻田 亨(リュート)
WAONCD-060 / 64min Stereo / CD 2006年10月1日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956060
解説:佐藤豊彦(日本語、英語)
レコード芸術誌〈準推薦〉 音楽現代誌〈注目〉
7台のリュートに全てガット弦を張り(総数130本!)、1500年~1750年に至る250年間のリュート音楽の名曲を奏でる。今まさに充実の時の櫻田 亨のソロアルバム。丹念に組み上げられた深いニュアンスをあたたかいガット弦の音色とともにお楽しみください。
[収録曲目]
- 6コース・ルネッサンスリュート
- フランチェスコ・ダ・ミラノ:ファンタジア 33番
- フランチェスコ・ダ・ミラノ:ファンタジア 40番
- ハンス・ノイジドラー:お気に召すまま
- ハンス・ノイジドラー:ラテン舞曲「ヴァシャ・メーザ(パッサメッツォ)とフップフ・アウフ」
- 8コース・ルネッサンスリュート
- 作者不詳 & フランシス・カティング:グリーンスリーヴズ
- ジョン・ダウランド:メランコリー・ガリアード
- ジョン・ダウランド:ラクリメ(涙のパバーヌ)
- 10コース・ルネッサンスリュート
- ニコラス・ヴァレット:菩提樹の下で
- ニコラス・ヴァレット:デカパン道化師
- 13コース・アーチリュート
- ピエトロ・パオロ・メリイ:カプリッチョ「偉大なマティアス」
- ピエトロ・パオロ・メリイ:コレンテ「王妃」
- 11コース・バロックリュート
- エネモン・ゴーティエ(老ゴーティエ):メッサンジョーに捧げるトンボー
- エネモン・ゴーティエ(老ゴーティエ):カナリー
- エネモン・ゴーティエ(老ゴーティエ):メサンジョーの遺言
- 14コース・テオルボ
- ロベール・ド・ヴィゼー:リュリ氏の序曲「ヴェルサイユの洞窟」
- ロベール・ド・ヴィゼー:パッサカイェ(パッサカリア)
- 14コース・バロックリュート
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ:プレリュード(前奏曲)
- シルヴィウス・レオポルド・ヴァイス:ファンタジー
- シルヴィウス・レオポルド・ヴァイス:チャコーナ(シャコンヌ)
[演奏者プロフィール]
櫻田 亨 さくらだ とおる
日本ギター専門学校でギターを学んだ後、オランダのデン・ハーグ王立音楽院でリュートを佐藤豊彦に師事した。リュート、テオルボ、 ビウエラ、バロックギター、19世紀ギターといった撥弦楽器を幅広く演奏し、時代やその音楽にふさわしい楽器を的確に使い分けている。また、すべての楽器にガット弦を用いて歴史的な表現力を引き出す演奏スタイルは、日本ではまだ数少なく、非常に興味深いものである。ソリストとしてのみならず、通奏低音奏者として、共演者の意図を十分に汲み取って盛り立てる柔軟な音楽性は、多くの演奏家から信頼を集めている。「ルストホッファース」「ムジカ エランテ」メンバー。リュート&アーリーギターソサエティ・ジャパン事務局長。
[使用楽器]
ガット弦 :
Gamut Musical Strings, U.S.A.
Aquila Corde Armoniche, Italia
- 6コース・ルネッサンスリュート:マルティン・デ・ヴィッテ 2001年 オランダ
- 8コース・ルネッサンスリュート:リチャード・バーグ 1990年 カナダ
- 10コース・ルネッサンスリュート:セバスティアン・ヌニェス 1996年 オランダ
- 13コース・アーチリュート:リチャード・バーグ 2003年 カナダ
- 11コース・バロックリュート:マルティン・デ・ヴィッテ 2004年 オランダ
- 14コース・テオルボ:マルティン・デ・ヴィッテ 2003年 オランダ
- 14コース・バロックリュート:リチャード・バーグ 1990年カナダ
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2006年3月7日~9日 秩父ミューズパーク音楽堂
- [ 2.8224MHz DSD Recording & 96kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- MBHO MBP604/KA100LK with Schneider disc (MBHO made)
- セッティング
- OSS (Buffled stereo)
- プリアンプ
- Grace Design model 201
- ラインアンプ
- Grace Design Lunatec V3
- レコーダー
- TASCAM DV-RA1000
- マスタークロック
- Rosendahl nanosyncs
- DSD to PCM converter
- DCS 974
- Excutive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Recording Co-producer : Toyohiko Satoh 佐藤豊彦
- Cover design & Art works : Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
[録音のこだわり]
今回の録音の目玉はマイキングでしょう。いわゆるワンポイントステレオですが、シュナイダーディスクという円盤を用いたOSS(Optimal Stereo Signal)法で録っています。ガット弦のリュートは豊かな音がしますが、それでも絶対的な音量はかなり小さいものです(この録音を聞いて、S/Nが悪いと思った方は音量上げ過ぎです!)。音が小さいのでどうしても近距離で録ることになるのですが、近づいてワンポイントで録ると、再生したときに2本のスピーカーの間に巨大なリュートが出現します。それにホールの響きよりも直接音が非常に多くなってしまいます。それも迫力があって良いという向きもあるかもしれませんが、ちょっと圧迫感がありますね。それを避けるためにこの手法を使いました。OSS法では2本のマイクの間に円盤や球体を挟みます。ダミーヘッドによるバイノーラル録音もこの仲間です。この方法によるとちょうどカメラの広角レンズのような効果があって、対象物(この場合リュート)は小さくまとまり、まわりの様子(この場合ホールトーン)をより多くとらえることができるようになります。以前19世紀ギターを録音したときも、今回と同じような事情から手作りのジェクリンディスク(平板型)を用いたOSS法を使い、うまくいった経験があります(井上 景 メルツ作品集「夕べの歌」CECILE Record : IMS-0306)。ヘッドホンで聴いていただくと、普通は頭の中で音がする感じですが、この録音は少しだけ前の方で音がするように感じられると思います。バイノーラル録音に似た効果が出ているのだと思います。このシュナイダーディスク、あまり使っている人は見かけませんが、状況によってはかなり効果があるので、これからも時折使っていくことになりそうです。
編集の時に使ったスピーカーですが、いつものWaon Reference Monitorだと、ツイータ(Dynaudio T330D)の反応が早くて、ガット弦のリュートをずっと聞いているとクラクラしてきてしまったので、PMC製のTB1を使いました。「月の光に魅せられて」(WAONCD-050)の録音セッションで使ったときは市販のままでしたが、今回は中身を少し改造してあります。もともとはアルミドームのツイーターが付いているのですが、これの解像度がいまいちなので、VISATONのG25HEというテキスタイルドームツイーターに換装し、さらにネットワークの回路も少し手を入れています(上下とも6dB/octで3100Hzクロスに変更、C, Rを高品質なものに換装)。市販品よりはだいぶ音質が良くなっています(改造のご依頼やお問い合わせは受けかねます。ご容赦を)。