詳細情報
ネオ・バロック 融け合う時空
三橋桜子(チェンバロ)
WAONCD-160 / 61min Stereo / CD 2010年3月30日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956169
解説:Paul van Akken(日本語、英語)
レコード芸術誌〈準推薦〉 音楽現代誌〈準推薦〉
CDジャーナル誌〈イチ押し〉中野和雄氏選
古楽に精通し、アルゼンチンの香りのする新しい音楽を創出するパブロ・エスカンデと、チェンバリスト三橋桜子の二人が協力して作り上げる新しいチェンバロ曲集。ギリシャ旋法を用い、ネオバロックスタイルでエスカンデが作曲したパルティータ第1番(2006)とパルティータ第2番(2008)に加え、J.S.バッハの新しい試みを感じさせるハ短調のファンタジーとフーガの未完のフーガをエスカンデがバッハの書法で完成、さらにめったに演奏されることの無いモーツァルトの組曲KV399の不完全な形式を、エスカンデがモーツァルトの書法に則り、補完。偉大な天才の残した曲の新しい姿とともに、現代に新生した新しいバロックをお楽しみ下さい。
[収録曲目]
- J.S.バッハ パブロ・エスカンデにより完成
- ファンタジーと未完のフーガ ハ短調 BWV 906
- パブロ・エスカンデ
- 序曲
- 間奏曲I
- カプリッチョ
- 間奏曲II
- グラウンド
- 間奏曲III
- ジーグ
- W.A.モーツァルト *)パブロ・エスカンデ
- 序曲
- アルマンド
- クーラント
- サラバンド*
- ガヴォット*
- ジーグ*
- パブロ・エスカンデ
- 前奏曲
- 間奏曲I
- ブルレスカ
- 間奏曲II
- フーガ
- 間奏曲III
- ジーグ
- パルティータ第1番
- 組曲 KV399
- パルティータ第2番
[演奏者プロフィール]
三橋桜子 みつはし さくらこ
1974年愛知県岡崎市生まれ。東京都立芸術高校ピアノ科を経て、東京芸術大学器楽科チェンバロ専攻卒業。在学中、安田生命の音楽奨学生に選ばれる。オランダのユトレヒト音楽院に留学し、1999年にディプロマを取得。これまでにチェンバロを鈴木雅明、シーベ・ヘンストラ、ピエール・アンタイ、アリーン・ジルベライシュ、通奏低音を多田逸郎、小島芳子、オルガンを早島万紀子の各氏に師事。1998年ブルージュ国際古楽コンクール、セミファイナリスト受賞。2000年京都・青山音楽賞受賞。2001年山梨古楽コンクール3位入賞(1位なし)。2005年と2006年には京都フランスアカデミーの伴奏者、長岡京室内アンサンブルの通奏低音奏者を務める。2007年には、京都ALTIの俊英演奏家シリーズでリサイタルを開催した。これまでにオランダやフランスの著名演奏家たちと国内でも共演している。現在は、国内の他、オランダ、ドイツ、スイス、フランスなどで演奏活動を行い、ホーランドバロックソサイエティなどと共演するなど、通奏低音奏者としても活躍している。
パブロ・エスカンデ Pablo Escande
1971年アルゼンチン生まれ。1990年にブエノスアイレスの音楽院にて「Maestro Nacional de Musica」を取得。その後オランダに渡り、ジャック・オッホのもとでチェンバロとフォルテピアノを、アムステルダムの旧スヴェーリンク音楽院でラファエル・ライナに作曲を学ぶ。1993年以来、ヒルヴァーサムの聖母マリア教会の指揮者兼オルガニスト、またマックス・ファン・エグモントのレッスン専属伴奏者を務めている。1995年からは、オランダ、オーストラリア、アメリカ、スペイン、フィンランド、日本他各国から委嘱を受け、独奏曲、室内楽、オラトリオ、教会音楽、オペラ、バレー音楽、歌曲のほか、オーケストラのための曲を作曲している。また、チェロオクテットメコンフント・イベリコモの専属アレンジャーとしても活躍中。これまでにロッテルダム室内オーケストラ、アンナ・ビルスマ、マックス・ファン・エグモント、ホーランドウィンドプレーヤーズ、コンフント・イベリコ、マリウス・ファン・アルテナ、マリアルース・アルバレス、舘野泉親子他から委嘱を受けたり、自作で共演している。2007年アメリカアリエノール作曲コンクールにて名誉賞を受賞。2008年丹波の森国際音楽祭のシンボルアーティストに選ばれる。〈オフィシャルサイト〉
[使用楽器]
堀 栄蔵 1992, フレンチ タスカンモデル(FF-f3 : 8' x 8' x 4')
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2009年9月15日~19日 アートライフみつはしギャラリー
- [ 192kHz 24bit Recording & Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- MBHO604/KA100LK
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- プリアンプ & ADコンバータ
- Grace Design Lunatec V3
- レコーダー
- TASCAM DV-RA1000
- DSD to PCM converter
- DCS 974
- Excutive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Recording Director : Pablo Escande
- Harpsichord Technician : Takahito Shimaguchi 島口孝仁
- Translation : Howdy Language School
- Art works : Naoko Ito 伊藤尚子
- Cover design : Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
- Photograph : Fumitaka Saito 斉藤文 / Yoko Mazuki 真月洋子
[録音のこだわり]
今回のセッションは、ホールではなく、チェンバロ奏者の三橋桜子さんの実家でもあるギャラリー〈アートライフみつはし〉での収録となりました。天上の一部が吹き抜けているおかげで、広さの割には響きがあります。吹き抜けの下に楽器を置き、充分会場に回った音をマイクで拾うという録り方になりました。中央に柱があるし、壁は平行面だらけでしたので、結構細かく楽器とマイクの位置関係の調整が必要でした。普通なら、楽器にもっと近づけてマイクを置き、電気的に残響を加えてしまえばイッチョ上がりですが、ワオンレコードでは、いつものように、生の残響のみ、音質調整無しで頑張っています。どうしても部屋固有の響きが残ってしまいましたが、聴いてみると部屋の響きが密に重なって平均音圧が上がり、かえって濃厚な音に感じられます。 いつもは1bitのDSD録音ですが、今回は192kHz, 24bitのPCMで録音してみました。録音の際にデジタル化してから、最終的にCDのフォーマットに変換する直前まで、いっさいデジタル-デジタル変換をしていません。DSD録音の場合に比べて変換が1回少ないということになります。もちろん鮮度を保ちたいからということもありますが、将来的にハイレゾデータをご提供することになった場合、デジタル-デジタル変換を一度も経ていない音をご提供できるということも狙っています。 良く聴いていただくと、曲間で虫が鳴いているところがあるのに気づかれるかもしれません。夜中に録音していたものですから、外では盛大に虫の合唱です。ご近所の生け垣をゆすったり、ホースで水を撒いたりして虫に黙ってもらってから録音していました。それでも鳴くやつは鳴く...。ご近所の皆様、夜中に生け垣がガサガサ言ったり、月が出てるのに大量の雨が降ったのは私たちのせいです。ごめんなさい…