詳細情報
Exceptional Audio Recording
WAONXA-206 1DVD
96kHz 24bit WAVE(PCM)
WAONXA-208 1DVD
2.8224MHz DSDIFF
甘き喜びのうちに In dulci jubilo
富山鹿島町教会 礼拝奏楽より アドヴェント~クリスマス
松原葉子(リードオルガン)
WAONCD-200 / 57min Stereo / CD 2010年11月22日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956206
WAONXA-206 / 96kHz 24bit WAVE DVD-ROM 2011年11月25日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205953090
WAONXA-208 / 2.8224MHz DSDIFF DVD-ROM 2011年11月25日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205953106
解説:藤原一弘(日本語、英語)
レコード芸術誌〈準特選〉
富山鹿島町教会のオルガニスト松原葉子さんによる、アドヴェント(待降節)からクリスマス(降誕節)にかけての礼拝で演奏しているレパートリーを収めたアルバムです。卓越した楽器コントロールによる豊かで温かいリードオルガンの響きをお楽しみ下さい。
[収録曲目]
- 〈礼拝の開始と御言葉に耳を傾けられるようにとの祈り〉
- 中世のキャロル:「甘き喜びのうちに」
- J.M.バッハ:「甘き喜びのうちに」
- J.C.H.リンク:「いとも尊いイエスよ、われらはここにて」
- 〈待望(I)〉
- J.S.バッハ:「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」
- コラール:「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」(和声:J.S.バッハ)
- G.M.トラバーチ:第3旋法による3つの主題によるリチェルカータ
- 〈預言〉
- コラール:「一輪のバラの花が萌え出で(エッサイの根より)」
- J.ブラームス:「一輪のバラの花が萌え出で」
- 〈天使による良い知らせ〉
- J.S.バッハ:「高き天よりわれは来たれり」
- 〈天使、羊飼いの讃美〉
- C.ウェスレー:パストラーレ
- 『讃美歌21』278番 「暗き闇に星光り」
- J.S.バッハ:「ほめ讃えられよ、汝イエス・キリストよ」
- 『讃美歌21』259番「いそぎ来たれ、主にある民(神の御子は今宵しも)」
- O.ギボンズ:ヴォランタリー
- 〈マリアの讃歌、すべてのものらの礼拝と讃美〉
- D.ブクステフーデ:「マニフィカト(わが魂は主をあがめ)第9旋法」
- 『讃美歌21』255番 「生けるものすべて」
- J.S.バッハ:「全能なる神に讃美あれ」
- E.クレンケル:「いざ歌い、喜べ」
- B.カー:シチリアの歌に基づく変奏曲より
- O.アーベル:「われは汝の馬槽の前に立ち」
- 〈待望(II)と成就〉
- J.ボワヴァン:第4旋法による容易なプレリュード
- 松原葉子:「久しく待ちにし」による前奏曲
- 『讃美歌21』231番 「久しく待ちにし」
- 〈讃美と安らぎ、平和〉
- G.P.チーマ:カンツォーン第4番「安らぎ」
- 『讃美歌21』264番「きよしこの夜」
[演奏者プロフィール]
松原葉子 まつばら ようこ
1973年、富山生まれ。幼少の頃よりピアノを始める。15歳より教会での礼拝奏楽に携わり、教会音楽の学びを志す。フェリス女学院大学音楽学部楽理学科卒業。オルガンを林佑子、宮本とも子、三浦はつみ、作曲を岡島雅興、松本日之春、土田英介、音楽学を寺本まり子、秋岡陽 の各氏 に師事。2000年「立教学院創立125周年記念教会音楽作曲コンクール」3位入賞。日本オルガン研究会、日本リードオルガン協会、日本賛美歌学会会員。日本基督教団富山鹿島町教会オルガニスト。
[使用楽器]
YAMAHA Reed Organ No.5, 1962, Serial No.1139574 11 stops, 3 and 1/2 sets of reed (F - h) Bass Coupler Dulciana・・・・・・・8' Diapason・・・・・・・8' Aeolian Harp・・・2' Viola・・・・・・・・・・4' Vox Humana (c' - f''') Treble Coupler Clarabella・・・・・8' Melodia・・・・・・・・8' Celeste・・・・・・・・8' Flute・・・・・・・・・・4' Knee Swell・・・・・Full organ (left)/Swell (right)
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2009年9月28日/12月7日/2010年3月6日/6月21日 日本基督教団 富山鹿島町教会
- [ 96kHz 24bit Recording & Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- MBHO MBP604/KA100LK
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- プリアンプ&ADコンバータ
- Grace Design Lunatec V3
- オーディオ・インターフェース
- Metric Halo Mobile I/O 2882 2d expanded
- レコーダー
- Metric Halo MIO Console v5
- DSD to PCM converter
- DCS 974
- Excutive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Coproducer : Yoshié Kaneiwa 兼岩好江(officeARCHES)
- Assistant Director : Yoko Ayabe 綾部曜子
- Organ Engineering : Teruo Wakui 和久井輝夫
- Cover design & Art works : Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
- Photograph : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
[録音のこだわり]
この録音セッションは、いろいろと都合があって、いつもとは少し違ったものになりました。まず、礼拝堂での収録ということで、夕方から午後9時頃までの限られた時間で、外の自動車や飛行機の音の合間をぬって収録する必要がありました。さらに、奏者の松原さんや教会のスケジュールのご都合もあって、結局4回、富山へ日帰り出張録音となりました。セッティングと撤収にも時間が充分にとれない状況で、毎回同じセッティングを再現する必要もあり、できるだけ速やかにセッティング/撤収できるシンプルな機材で録らなくてはなりませんでした。そこで出番となったのが、普段は演奏会の出張録音で活躍しているセットです。Grace DesignのLunatec V3でマイクの増幅とAD変換を一気にしています。さらに、長いケーブルの引き回しを1本でも減らしたいので、Lunatec V3をマイクのそばに置き、デジタル信号を1本のケーブルで引っ張ってくることにしました。20mほどの距離になるので、Canare D206の両端に、電磁シールドタイプのNeutricのコネクタを付けたものを用意しました。このケーブルは安心して長距離を伝送でき、しかも音質もかなり良い感じです。レコーダーには、MacBookにMetric Haloのオーディオ・インターフェースMobile I/O 2882 2d expandedをつないで使いました。録音ソフトもMetric HaloのコントロールソフトのMIO Consoleに付属している録音機能を使っています。これもこの手のソフトとしては音質が透明で、Lunatec V3の音を忠実に記録してくれます。記録メディアには、GreenHouseのPicoBoostという4GBのUSBメモリーを使いました。ちょうどセッション1回分が1本に収まる感じですが、これが並のHDDに記録するよりも音が良いのです。オルガンは、今回の収録のコンセプトの点からも、いつも礼拝で演奏している場所に置いてもらい、響きがうまく回るように少し向きや位置を調整しました。そして背面のカバーを外し、楽器のメカニカルな部分を露出させて収録しています。リードは直接見えないのですが、これで充分な明瞭度を得ることができました。テクニシャンの和久井輝夫さんが、とても素晴らしい楽器調整をして下さったことも忘れるわけにはいきません。マイクはいつものMBHOですが、楽器の音質的にはラージダイアフラムの方を使いたいものの、このセッティングでは会堂の響きを均質に録りにくいので、スモールダイアフラムのKA100LKにしました。楽器の音と会堂の響きのバランスからするとこの選択は正解でした。セッティングにも、機材的にも制約が多い中、楽器の音がとてもナチュラルに、そして会堂の響きも素直に録れています。リードオルガンの音は、ほとんどのみなさんご存知とは思います。しかし、卓越した奏者の優れた楽器コントロールによって、信じられないようなすてきな音と音楽が生まれ出てきます。鹿島町教会のみなさんはいつもこんなにすてきな音楽とともに礼拝されているのですね。クリスマス前に限らず、このCDを聴いていただければきっといつも、とても温かい感じに包まれるでしょう。ぜひ聴いてみて下さい。オルガン音楽ファンにも、オーディオマニアの皆さんにもおすすめです。リードオルガンのダイナミックレンジをなめているとびっくりするかも。
[Hi-res]のWAVE形式の音源は、この録音がもともと96kHz 24bit PCMで録音しているので、録音セッションの時にこのフォーマットに変換して以降、編集も含めていっさいのデジタル-デジタル変換をしていないピュア音源だというところが特徴です。リードオルガンの倍音はなかなかに複雑です。それはリードの振動に細かな揺らぎがあるからのようで、そこから生じる倍音のハーモニーは、実にカオスのごときです。でもそこには何とも言えない温かさと柔らかさを持ったハーモニーが存在します。CDフォーマットでは、残念ながら数kHz以上での位相情報が随分怪しくなっていますので、この独特の倍音のハーモニーは、かなり高級な再生装置をもってしても充分に再生することはとても難しいのです。サンプリングが96kHzになりますと、かろうじて可聴域の上の方まで位相情報が保たれますので、このハーモニーが再生できるようになってきます。DSDIFF形式の方は、この音源をweiss Saracon-DSDの10次のモデュレーションで慎重にDSDに変換しています。96kHzの録音をDSDにすることに意味があるかどうかですが、その判断はこれを聴いて下さる皆さまにお任せしたいと思います。リードオルガンという楽器の音色と、DSDというフォーマットは悪くない組み合わせのようです。原音に忠実かどうかはともかく、私はこのDSDフォーマットにしたリードオルガンの音は大好きです。この素晴らしい楽器によるすてきな演奏をぜひお楽しみ下さい。