詳細情報
G.F.ヘンデル フルートソナタ集
福永吉宏(フルート) 上尾直毅(チェンバロ)
WAONCD-210 / 69min Stereo / CD 2011年7月1日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956213
解説:福永吉宏・上尾直毅共著(日本語、英語、ドイツ語※)
レコード芸術誌〈準推薦〉
「J.S.バッハ フルートソナタ全集」(WAONCD-020/021)に次ぐ福永吉宏さんの2タイトル目です。今回も愛用のヘルムート・ハンミッヒ製作のフルート3本を使っての演奏です。通奏低音にはヘンデル作品にも造詣の深い名手、上尾直毅さんのチェンバロ。バッハ同様、響きのきれいなガリバーホールでの収録です。 ペアマイクによるDSD録音。
※Apple music / iTunesでのアルバム購入時付属のデジタルブクレットでは、解説は日本語と英語のみとなります。ご了承下さい。
[収録曲目]
1-5. | フルートソナタ ホ短調 HWV379(作品1-1a) | flute: No.12(銀管) |
6-10. | フルートソナタ ト長調 HWV363b(作品1-5) | flute: No.12(銀管) |
11-17. | フルートソナタ ロ短調 HWV367b(作品1-9) | flute: No.12(銀管) |
18-21. | フルートソナタ イ短調 HWV374(ハレソナタ第1番) | flute: No.436(銀管) |
22-25. | フルートソナタ ホ短調 HWV375(ハレソナタ第2番) | flute: No.436(銀管) |
26-29. | フルートソナタ ロ短調 HWV376(ハレソナタ第3番) | flute: No.228(木管) |
30-33. | フルートソナタ ニ長調 HWV378 | flute: No.228(木管) |
[演奏者プロフィール]
福永吉宏 ふくなが よしひろ
1956年、京都に生まれる。1979年、大阪芸術大学演奏学科卒業。フルートを故山田忠男、小久見豊子、荒井博光、西田直孝の諸氏に師事。リコーダーを西岡信雄氏に師事。1980年、ドイツ、カールスルーエ音楽大学入学。レナーテ・グライス・アルミン教授に師事。1976~1980年まで大阪リコーダーコンソート在籍中、1976年、全日本リコーダーコンクール、アンサンブル部門最優秀賞・朝日新聞社賞受賞。1978年、大阪文化祭賞、音楽クリティッククラブ奨励賞を受賞した。1981年、京都・バッハ・ゾリステンを結成、主宰し、京都の洛陽教会(京都市上京区)を本拠地として定期コンサートを行う。1987年より大バッハの残した偉大な財産である200曲に及ぶ教会カンタータを演奏する《バッハ・カンタータ200曲全曲連続コンサート》を1スタートさせ2005年に完結した。これはヨーロッパに於いても稀少なことであり、日本では初めての試みである。1994年、ドイツのベルリン、ライプツィヒで公演し、ライプツィヒ聖トーマス教会にて指揮した「マニフィカート」は当地のテレビ・新聞にて絶賛された。1996年、2000年、カールスルーエおよびフライブルクなど各地の独日協会文化局の主催によりドイツ公演を行っている。フルート奏者としても室内楽をはじめ各地でのレクチャーコンサートを行っている。1988年、第1回フルートリサイタルを京都府立文化芸術会館で開催。1999年、いずみホールで行ったフルートリサイタル(バッハ・フルートソナタ全曲。共演:小林道夫(チェンバロ))において、大阪文化祭賞奨励賞を受賞。2004年、山本恭平氏と共にデュオ・ヘルムート・レゾナンツを結成。バンベルク交響楽団首席フルート奏者グンター・ポール教授や、ベルリン芸術大学教授ロスビタ・シュテーゲ氏と共演するなど定期的に公演を続けている。第29回藤堂顕一郎音楽褒賞受賞。録音では、CD「J.S.バッハ フルートソナタ全集〈全8曲〉」(ワオンレコード WAONCD-020/021、共演:小林道夫(チェンバロ))をリリース。日本フルート協会常任理事。大阪芸術大学客員教授。神戸女学院講師。京都・バッハ・ゾリステン主宰、指揮。
上尾直毅 うえお なおき
京都市立堀川高校音楽科を卒業後、東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻に入学、ピアノを辛島輝治氏に師事。同校卒業後、幼少から興味を持っていたバロック音楽にさらに近づくためチェンバロを本格的に学び始める。東京藝大在学時よりチェンバロを山田貢、鈴木雅明、渡邊順生の各氏に師事。1992年、山梨の第6回古楽コンクール旋律楽器部門で「通奏低音特別賞」を受賞する。同年アムステルダム・スウェーリンク音楽院に入学し、チェンバロをグスタフ・レオンハルト、アンネッケ・アウテンボッシュの両氏に師事し、1995年、ソリストディプロマを得て卒業。続いてデン・ハーグ王立音楽院にてフォルテピアノをスタンリー・ホーホランド氏に師事し、1997年に室内楽ディプロマ、1998年にソリストディプロマを得て卒業。同年、フィリップ・ヘレヴェーヘ指揮、デン・ハーグ王立音楽院の古楽オーケストラとベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を共演し、たまたま居合わせたハンガリー出身の現代作曲家で古典音楽にも造詣の深いジェルジ・クルターク氏に絶賛される。1999年よりデン・ハーグ王立音楽院古楽器科の正式伴奏員(通奏低音奏者)を勤め、2000年から帰国する01年まではオランダ室内管弦楽団のチェンバロ奏者も勤める。鍵盤楽器のみならず18世紀フランス宮廷で大流行した小さなバグパイプ「ミュゼット」を独自に研究し習得し、数少ないミュゼット奏者の1人として活動する。2001年に帰国後は、国内を中心にソリスト、通奏低音奏者として活動している。2010年にリリースされたフォルテピアノによるCD「ベートーヴェン:61鍵の時代」(ワオンレコード WAONCD-120、共演:荒木優子(ヴァイオリン))は「レコード芸術」誌で特選盤、及び優秀録音と評価された。近年はさらにクラヴィコードによる演奏会、レクチャーにも力を入れて活動している。桐朋学園大学音楽学部講師。
[使用楽器]
flute (from left) :
•Helmuth Hammig, Berlin, No.436 - silver
•Helmuth Hammig, Berlin, No.12 - silver
•Helmuth Hammig, Berlin, No.228 - wooden (Head joint made by Sankyo Flute Manufacturing)
harpsichord :
•Bruce Kennedy, Amsterdam 1993, after Michael Mietke, Berlin
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2010年3月30日〜4月1日 滋賀県高島市ガリバーホール
- [ 2.8224MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- Earthworks QTC-1mp
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- プリアンプ
- Grace Design model 201
- レコーダー
- DV-RA1000
- マスター・クロック
- Rosendahl nanosyncs
- DSD to PCM converter
- Weiss Saracon-DSD
- Excutive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Assistant Director : Yoko Ayabe 綾部曜子
- Harpsichord Technician : Toshiya Nogami 野上俊哉
- Translation : Howdy Language School
- Cover design & Art works : Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
- Photograph : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
[録音のこだわり]
録音機(ADコンバーター込み)が異なるほかは、福永さんの1つ目のアルバム「J.S.バッハ フルートソナタ全集」(WAONCD-020/021)と同じ機材で録っています。録音機まで含めて言うのなら、上尾さんのアルバム「ベートーヴェン 61鍵の時代」(WAONCD-120)と同じです。音の速い立ち上がりや、高い領域までの倍音に対する忠実度の高さという点で優れた録音セットです。(マスタリングにおいては、CDフォーマットに変換するDDコンバーターがdcs974からWeiss Saraconに変わったので、この二つのアルバムより微妙に明るめの音になっています。) Earthworksのマイクの周波数特性は、数Hzから40kHzまでほとんど真っ平らですので、世間一般のCDと比べていただくと幾分地味な音に聞こえるというご指摘もありますが、現場でご自分の耳で聞かれると、こういう音なんですね。そのままの音です。そのままであるがゆえに、使用楽器の微妙な違いを聞き取っていただくことができます。今回福永さんはハンミッヒのフルートを3本持ってこられました。バッハの収録時に使われた2本にさらに別の銀管が1本加わりました。ヘルムートの銀管が2本ということですが、音色は微妙に異なります。もちろん木管の方はさらに異なる個性を持っています。音色の違いも聴きながら演奏を楽しんでいただければ面白いと思います。 ところで2本のマイクの間隔は70cm離して録っています。このセッティングは、カメラの標準レンズで撮った写真のような音像再現ができます。きちんとセッティングされたステレオセットで再生していただくと、距離感に対してちょうど現実感をもってつり合うくらいの音像が再現されるはずです(最近はうんと小さいスピーカーでかなり近い距離で聴かれる方やヘッドホンオンリーの方もいらっしゃるので、必ずしもそうならない場合もありますが)。そう言った点でのリアリティーも感じ取っていただくと嬉しいですね。ちなみに、福永さんが指揮台に乗って演奏しているのは、立って演奏している高さになるようにしたためです。その方がチェンバロの音のおいしいところといっしょに録ることができるからです。3日間立ちっぱなしというわけにもいきませんでしたし…。