詳細情報
花影の小径
堤 聡子(ピアノ) 才村昌子(銅版画)
WAONCD-280 / 66min Stereo / CD(-TEXT) 2015年5月18日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956282
解説:堤 聡子/才村昌子/平野一郎(日本語、英語)
レコード芸術誌〈準推薦〉
作曲家の平野一郎さんが企画監修し、ピアニスト・堤聡子さん、美術家・才村昌子さんとの協同によって誕生した、ピアノと銅版画という異分野がひとつの園に出逢うアルバムです。実体あるパッケージを伴った音源をリリースすることにこだわってきたワオンレコードが、改めてパッケージと言うものを問い直してみました。音と画、花と影が響きあうアーティストの美世界を、両手を胸にして大切なものを包み込むように、耳に触れ、目に触れ、手に触れ、心に触れ、お楽しみいただきたい作品に仕立てました。ぜひパッケージでお求めいただきたいアルバムです。改良型金田式DCアンプマイクによるペアマイクステレオDSD録音。
[収録曲目]
- ロベルト・シューマン
- 森の入口
- 待ち伏せする狩人
- 孤独な花
- 呪われた場処
- 心地のよい風景
- 旅籠屋
- 予言の鳥
- 狩の歌
- 別れ
- フレデリック・ショパン
- バラード 第2番 (1839)
- モーリス・ラヴェル
- 悲しみの鳥 (1905)
- 平野 一郎
- ♀.祈りの浜
- ♂.怒れる海民の夜
- クララ・シューマン
- ロマンス (1836)
- フレデリック・ショパン
- バラード 第3番 (1841)
- エルネスト・ショーソン[平野一郎編]
- リラの花咲く頃 (1886)
- 森の情景 (1849)
- 二つの海景 (2004-2011)
[演奏者プロフィール]
堤 聡子 つつみ さとこ
兵庫県神戸市出身。京都市立芸術大学音楽学部卒業。以来、ソロ・室内楽での活動の他、作曲家とのコラボレーションをはじめ、新作の初演等にも継続的に取り組む。1995年、スウェーデン・リンシェピング音楽祭『MUSIK DAGAR'95』に於いてソロリサイタルを行う。2003年、松方音楽賞大賞受賞。2004年、F.リスト作曲ピアノ協奏曲第1番(門良一指揮・神山交響楽団)を演奏。2005年、モスクワ音楽院大ホールにおいて同音楽院国際文化センター主催音楽祭『Nihon-no Kokoro』に出演。同年、神戸新聞文化財団主催「松方ホール音楽賞大賞受賞記念リサイタル」を行う。2005、'06年『石豊久(Vc.)&堤聡子(Pf.)デュオ・コンサート』開催。2008年、神戸新聞文化財団主催「堤聡子ピアノリサイタル2008~ロマン主義の見えざる水脈を辿って~」開催。2011年、作曲家/演奏家/美術家によるユニット“音色工房”の旗揚げ公演〈モノオペラ 邪宗門〉に参加、コアメンバーとなる。同年、S.ラフマニノフ作曲ピアノ協奏曲第2番(今西正和指揮・加古川フィルハーモニーオーケストラ)を演奏。2014年、G.ガーシュウィン作曲ピアノ協奏曲ヘ調(三河正典指揮・八幡市民オーケストラ)を演奏。これまでにピアノを上野真、O.ガルドン、田隅靖子、渡辺純子、黒田(谷本)恭子、O.フロイデンタールの各氏に、室内楽をC.イヴァルディ氏に師事。
[使用楽器]
Steinway & Sons D274
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2013年7月17日~19日 津幡町文化会館シグナスホール
- [ 2.8224MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- 改良型金田式DCアンプマイク Schoeps MK2H 無指向性カプセル装着
- 設計・製作 : 毛利忠晴 (PureT Records), 2013年作
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- レコーダー
- TASCAM DV-RA1000
- DSD to PCM converter
- Weiss Saracon-DSD
- Excutive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Artistic & Recording Producer : Ichirô Hirano 平野一郎
- Piano Regulation : Naohiro Takeda 竹田直弘
- Translation : Seth Yarden
- Cover design & Art works : Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
[録音のこだわり]
グランドピアノの録音と言うと、近年どんどん楽器に近接してマイクを置く傾向があって、弦がたたかれる音や、響板からの反射音ばかりが強調されているにも関わらず、それがピアノ録音の典型とされているケースが目に付きます(耳につきます)。本来ピアノの音と言うのはその大きな躯体から全方向に発散された音が部屋の中で拡散・反響して渾然一体となったものです。そのためある程度の距離をとって収録する必要が有り、近年の録音のようにきらびやかな音では決してありません。おそらくそのような音の要求は、楽器のすぐそばで常に聞いているピアニストからでたものなのでしょう。今回は古い録音の教科書にも出ているようなオーソドックスなマイクセッティングで改良型金田式DCマイクを使っての録音です。もちろんペアマイク。多くの拡散経路を通った音が緻密に収録されていますので、舞台の上にドンと置かれたグランドピアノを離れたところから聞くように広い音場感の空間の中で少し小振りな音像を伴って鳴るのを感じていただけるでしょう。多くの位相情報を持っているために、わりときちんとした再生装置で再生していただかないと本来の音にはならないかもしれません。帯域内での位相回転の大きなアンプや、ネットワークのクロスオーバーが適切でないスピーカーで再生するとかゆいところに手の届かないような音になりそうです。それらをちゃんと調整していただけばちゃんとした音になりますが、意外とシンプルなアンプにフルレンジのスピーカーなどで聴いていただく方が手っ取り早く良い音で聞いていただけるかもしれません。帯域がフラットなだけがHiFiではないのです。お気に入りの音が出るようになりましたら、ゆったりした気分で才村さんの版画を眺めながら音楽をお楽しみください。小さなCDブクレットですが、パッケージを含めて才村さんが心を込めて作り出したメッセージです。版画のイメージはとても小さくなっていますが、お気に召したならぜひ、才村さんの個展などにお出かけいただき彼女のオリジナルプリントの作品をお楽しみください。何たってそれが本物ですから。