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WAON RECORDS



詳細情報

ジャケットイメージ

J.S.バッハ 平均律クラヴィーア 第1巻
Das Wohltemperirte Clavier I : BWV846-869

大塚直哉(ポジティフオルガン)

WAONCD-380/381
65min + 59min Stereo / 2CD(HQCD) 2022年5月30日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956381
WAONCD-380/381 / 〜Hi-Res 2022年10月21日配信開始 JAN/EAN 4560205956381
 Apple Music / iTunes 2022年6月6日配信開始 / Naxos Music Library Japan 2022年11月4日配信開始
WAONCD-380G/381G(海外版) / 〜Hi-Res 2022年10月21日配信開始 JAN/EAN 4560205958415
 ※配信サービスの料金は、各配信サービスのサイトでご案内をご確認下さい。

解説:大塚直哉/藤原一弘(日本語、英語)

レコード芸術誌〈特選盤〉 音楽現代誌〈注目盤〉 

その完成から300年となる大バッハの遺産「平均律クラヴィーア 第1巻」を、古楽鍵盤楽器のオーソリティ大塚直哉さんが、彩の国さいたま芸術劇場所有のガルニエ作ポジティフオルガンで演奏した全曲を収録。この大曲をポジティフオルガンで演奏した録音は少なく、オルガンで演奏する意義を問う、緻密に構築された名演です。音楽学 藤原一弘さんによる解説も読み応え十分。欧文タイトルは、バッハの出版譜の表記に則ったもの。電流伝送マイクペアとDSDによる高音質録音。


[収録曲目]

  • CD1
    1. 前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調 BWV 846
    2. 前奏曲とフーガ 第2番 ハ短調 BWV 847
    3. 前奏曲とフーガ 第3番 嬰ハ長調 BWV 848
    4. 前奏曲とフーガ 第4番 嬰ハ短調 BWV 849
    5. 前奏曲とフーガ 第5番 ニ長調 BWV 850
    6. 前奏曲とフーガ 第6番 ニ短調 BWV 851
    7. 前奏曲とフーガ 第7番 変ホ長調 BWV 852
    8. 前奏曲とフーガ 第8番 変ホ短調/嬰ニ短調 BWV 853
    9. 前奏曲とフーガ 第9番 ホ長調 BWV 854
    10. 前奏曲とフーガ 第10番 ホ短調 BWV 855
    11. 前奏曲とフーガ 第11番 ヘ長調 BWV 856
    12. 前奏曲とフーガ 第12番 ヘ短調 BWV 857
    13. 前奏曲とフーガ 第13番 嬰ヘ長調 BWV 858
    14. 前奏曲とフーガ 第14番 嬰ヘ短調 BWV 859
  • CD2
    1. 前奏曲とフーガ 第15番 ト長調 BWV 860
    2. 前奏曲とフーガ 第16番 ト短調 BWV 861
    3. 前奏曲とフーガ 第17番 変イ長調 BWV 862
    4. 前奏曲とフーガ 第18番 嬰ト短調 BWV 863
    5. 前奏曲とフーガ 第19番 イ長調 BWV 864
    6. 前奏曲とフーガ 第20番 イ短調 BWV 865
    7. 前奏曲とフーガ 第21番 変ロ長調 BWV 866
    8. 前奏曲とフーガ 第22番 変ロ短調 BWV 867
    9. 前奏曲とフーガ 第23番 ロ長調 BWV 868
    10. 前奏曲とフーガ 第24番 ロ短調 BWV 869

[演奏者プロフィール]

大塚直哉 おおつか なおや
東京に生まれる。ビクター少年合唱隊にて音楽の基礎教育を受けるほか、ピアノを原田 稔 、高橋泰子、岡野寿子の各氏に師事。東京藝術大学楽理科を経て、同大学院チェンバロ専攻を修了(博士:音楽)。また、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびオルガン科を卒業。これまでにチェンバロを渡邊順生、鈴木雅明、小林道夫、B.v.アスペレン(Bob van Asperen)、オルガンを今井奈緒子、早島万紀子、P.v.ダイク(Pieter van Dijk)、W.ディーペンホルスト(Wim Diepenhorst)、J.v.オールトメルセン(Jacques van Oortmerssen)、廣野嗣雄、クラヴィコードをメノ・ファン・デルフト(Menno van Delft)の各氏に師事。1999年に帰国後は、東京を拠点にチェンバロ、オルガン、クラヴィコードの奏者として活発な活動を行うほか、これらの楽器にはじめて触れる人のためのワークショップを各地で行っている。また、近年では「メサイア」(ヘンデル)、「ロ短調ミサ曲」(バッハ)などのバロック期の声楽作品を中心とする指揮活動でも高い評価を得ている。現在、東京藝術大学音楽学部教授、国立音楽大学非常勤講師、宮崎県立芸術劇場および彩の国さいたま芸術劇場オルガン事業アドヴァイザー。日本チェンバロ協会、日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会各会員。NHK FM『古楽の楽しみ』ご案内役。

Photograph by Kazuhiro Kobushi


[使用楽器]

Positiv Organ, built by Garnier in 2000, C-d3, 4 stops
Temperament : Garnier No.16, a=440Hz
彩の国さいたま芸術劇場所有

Photograph by Kazuhiro Kobushi


[Recording Data]

録音日時・場所
2019年7月3日〜6日 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
[ 5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
使用マイク
PureT Records 電流伝送型マイクロホン Schoeps MK2H 無指向性カプセル
設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2018年バージョン
セッティング
Pair microphones A-B stereo
プリアンプ
PureT Records PT-CMP01
設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2016年バージョン
ADコンバータ
Mytek Digital Brooklyn ADC
レコーダー
TASCAM DA-3000
マスタークロック
Grimm Audio CC2
DSD to PCM converter
Weiss Saracon-DSD
  • Excutive Producer: Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Recording & Editing: Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Assistant Director: Mikina Yamashita 山下実季奈
  • Organ maintenance & Tuning: Matthieu Garnier マチュ・ガルニエ
  • Translation: Kazuhiro Fujiwara 藤原一弘(解説)/Yuki Ishiwata 石渡悠起子(エッセイ、プロフィール)
  • Cover design: Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
  • Special Thanks : Saitama Arts Foundation 埼玉県芸術文化振興財団/Saitama Arts Theater
    彩の国さいたま芸術劇場/Chikako Abe 阿部千佳子(S.A.F.)

[録音のこだわり]

バッハの大作であり、2022年にその完成から300年を迎えた「平均律クラヴィーア 第1巻」。チェンバロやピアノで演奏される例が多いものの、必ずしもそれらの楽器だけを想定している曲集でもなさそうです。ポジティフオルガンもその範疇に入るものですが、あまり録音の例に出会いません。とはいえ、KAMOCSレーベルの小沢さちさんの平均律(第1巻、第2巻とも)は弊社で録らせていただいたので、弊社としては2回めになります。小沢さちさんのときは割と狭い空間での収録でしたのでDCアンプマイクで録っていますが、今回は広大なホールでの収録ですので、その空間の広がりを活かすべく、弱広域補正型の無指向性カプセルSchoeps MK2Hを装着した電流伝送マイクで収録しました。オルガンから3m30cmほど離れた位置に60cm幅に離した2本のマイクを置いて録音しています。電流伝送マイクの音の検出能が高いので、もっと近くで録っているように聞こえるかもしれません。バルブのリンケージがカタカタ動く音も録れてしまっています。最初から最後まで「ゴー」といっているのはオルガンのフイゴの送風音です。ガルニエ工房のオルガンはパイプの喉元の径が大きいので風量が必要です。その分エネルギッシュできらびやかな音色です。音像は割と中央にまとまった感じですが、ちゃんとどこにあるパイプが鳴っているかはわかります。左の方だったり右の方だったり、手前だったり奥だったり、低い場所もあれば高い場所もありが明確に聞き取れます。ポジティフオルガンはそれほどの重低音はありませんから、小さなフルレンジスピーカなどでも十分楽しんでいただけると思います。
この平均律クラヴィーアという題目、直訳すれば具合よく調律された鍵盤曲ということになります。ですので、どのような調律をしたかは重要です。最近では第1巻の表紙に書かれた渦巻き模様から解明されたリーマンの調律が頻繁に使われますが、チェンバロの減衰音に対し、オルガンの持続音の場合、それが必ずしも具合良くありません。そこで今回使用したのが使用楽器のところにも書いてある「ガルニエの16番」。そんなの聞いたことない? それもそのはず、調律をしてくれたマチュ・ガルニエさんが使っているチューナーの16番目のメモリーに入っている調律です。これはガルニエ一家が今までの現場の中で具合良い設定を積み重ねてきたものを侃々諤々議論してできあがったものだそう。ノウハウが詰まった具合の良い調律なのです。結果的にNeidhardt Großstatとほぼ同じということらしいのですが、オルガンに良く合った具合の良い調律であることは間違いありません。

Photograph by Kazuhiro Kobushi