詳細情報
フランスバロック・ソナタの展翅
本村睦幸(リコーダー)
ジュゴンボーイズ(古楽デュオ)[ 山本 徹(チェロ)
根本卓也(チェンバロ)]
WAONCD-550 / 66min Stereo / CD(HQCD) 2023年5月20日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956558
WAONCD-550 / 〜Hi-Res 2023年7月14日配信開始 JAN/EAN 4560205956558
Apple Music / iTunes 2023年5月20日配信開始 / Naxos Music Library Japan 2023年7月21日配信開始
WAONCD-540G(海外版) / 〜Hi-Res 2023年7月14日配信開始 JAN/EAN 4560205958453
※配信サービスの料金は、各配信サービスのサイトでご案内をご確認下さい。
解説:関根敏子/本村睦幸(日本語、英語)
レコード芸術誌〈準推薦〉 Stereo誌「この音を聴け!」〈推薦〉 高崎素行氏選
特にリコーダーを指定しているアンヌ・ダニカン・フィリドールのソナタを端緒とし、フランスバロックのいろいろな“ソナタ”を通してフランス趣味からイタリア趣味に至るグラデーションを、蝶が羽を広げるが如くに組み上げたアルバム。リコーダの本村睦幸と共演するのは、チェロの山本徹とチェンバロの根本卓也のユニット、ジュゴンボーイズ。フランス的なヴィオラ・ダ・ガンバではなく、イタリア的なチェロを用いることで、より鮮やかなグラデーションが感じられることでしょう。関根敏子さんによる解説も読みごたえあり。カスタムメイドのDCアンプマイクと5.6MHz DSDによる高音質録音です。
[収録曲目]
- アンヌ・ダニカン・フィリドール (1681-1728) リコーダーのためのソナタ
- Lentement
- Fugue
- Courante
- les Notes égales et détachez
- Fugue
- ニコラ・シェドヴィル (1705-1782) 〈ヴィヴァルディの忠実な羊飼い〉より ソナタ 第4番
- Preludio Largo
- Allegro ma non presto
- Pastorale ad libitum
- Allegro
- マラン・マレ (1656-1728) マレ風ソナタ
- Un peu grave
- Legerement
- Un peu gay
- Sarabande
- Tres vivement - Gravement
- Gigue
- ジャンバティスト・カナヴァス (1713-1784) チェロソナタ 作品2の1
- Allegro
- Andante Grazioso
- La Caccia Allegro - Minuetto Grazioso
- フランソワ・クープラン (1668-1733)
- 恋する小夜鳴鳥
- ジャック・オトテール(1673-1763) 組曲ソナタ 作品5の4
- Prelude Gay
- Allemande Gracieusement
- Courante Gay
- Rondeau Gay
- Grave
- Gigue
演奏ピッチ:a’=405
Promotion Video 1
Promotion Video 2
Promotion Video 3
[演奏者プロフィール]
1980年代のアムステルダムに学んだ日本の名手、本村睦幸は、アルバム〈無伴奏リコーダー600年の旅〉(WAONCD-140)で聴かれるように、中世から現代音楽までの幅広いレパートリーを持ち、その広い視野から「東京リコーダー音楽祭」をディレクターとして伝説的成功に導いたことでも注目を集める。近年は特に、盟友のリコーダー製作家、斉藤文誉が18世紀リコーダーの最新の調査に基きオリジナル通りのピッチや運指で作る楽器の数々を愛用し、それにふさわしいレパートリーを探求している。ワオンレコードからの6番目リリースとなる本アルバムもその成果が反映されたものである。
共演のジュゴンボーイズは、チェロの山本 徹とチェンバロの根本卓也のユニットである。山本 徹は、バッハ国際コンクール他で入賞し、現在はバッハ・コレギウム・ジャパン、オーケストラ・リベラ・クラシカ、オルケストル・アヴァン=ギャルド等でも活躍中のチェリストである。根本卓也は、東京藝大で指揮を、リヨンで通奏低音を学び、現在はオペラ指揮者、作曲家、チェンバロ奏者という多くの顔を持つ。バロックから現代に至るまで、特にオペラや劇場音楽に造詣が深い。
Photo by Kazuhiro Kobushi
[使用楽器]
-
リコーダーは写真左から順に
- d’管リコーダー : 斉藤文誉 ブレッサン ヴォイスフルートのコピー [track 19]
- d’管リコーダー : 斉藤文誉 ブレッサン アルトの拡大コピー [track 10-15]
- f’管リコーダー : 斉藤文誉 ステインズビー・シニア アルトのコピー [track 1-5]
- f’管リコーダー : 斉藤文誉 ブレッサン アルトのコピー [track 20-25]
- c’’管リコーダー : 斉藤文誉 テルトン 5度フルートのコピー [track 19]
- d’’管リコーダー : 斉藤文誉 ステインズビー・ジュニア 6度フルートのコピー [track 6-9]
- チェロ : 作者不詳(18世紀後半のフランドル派)/弓 : パウル・エレラ
- フレンチチェンバロ:島口孝仁
Photo by Kazuhiro Kobushi
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2021年12月13日〜15日 千葉市美浜文化ホール 音楽ホール
- [ 5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- DCアンプマイク(改良型金田式) Schoeps MK2H 無指向性カプセル装着
- 設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ), 2013年作, 2018年改造型
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- プリアンプ
- PT-MPP02 DCアンプマイク専用 非平衡−平衡変換アンプ及び高品位電源
- 設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ), 2017年
- ADコンバータ
- Mytek Digital Brooklyn ADC
- レコーダー
- TASCAM DA-3000
- マスタークロック
- Grimm Audio CC2
- DSD to PCM converter
- Weiss Saracon-DSD
- Executive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Artists Management : I.Y.Management
- Assistant Director : Mizuho Doi 土居瑞穂/Mariko Suzuki 鈴木万里子
- Harpsichord Technician and Tuning : Takahito Shimaguchi 島口孝仁
- English Translation : David Sprague デイビッド・スプレイグ
- Cover Design & Art Works : Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉
[録音のこだわり]
今回のこの収録でも、ナポリのリコーダーコンチェルト同様、アーティストのサポートや、録音セッションのバックヤードサポートをしっかりフォローする会社が入ってくださったおかげで、集中した良い演奏と録音をすることができました。ありがたいことです。初期のフランスバロック音楽は、宮廷音楽として気品と格調が重んじられた小品が好まれましたが、やがてイタリア音楽の影響を受けるようになり、組曲やソナタといった大きな作品が演奏されるようになります。このアルバムではそのフランス趣味からイタリア趣味への変遷をお聞きいただくことが趣旨としてあるわけです。フランス的なヴィオラ・ダ・ガンバでなく、イタリア的なチェロを用いていることも、そこに理由があります。音質的にもくぐもった音から、開放された明るさに至るグラデーションが豊富で、その響きの違いをはっきり聞き取っていただけるようなセッティングに努めました。この美浜区のホールは室内楽をするのに適した容積と美しい響きを持っていますので、カスタムメイドのDCアンプマイクのペアでしっかりと収録しています。ただ、このホールは音響用電源の設備が限られていて、収録用の電源は結局一般共用電源(いわゆる壁コンセント)からとらなくてはなりませんでした。コントロールルームに使った楽屋のいくつもある壁コンセントのノイズを測って回ってみると、どうやら3回線に分かれているようで、それぞれの回線でノイズ量が異なる状況。一番ノイズの少ない回線にパワーコンディショナーとして自社製のWaon BIT-15をつないで電源供給しました。BIT-15は、いわゆるアイソレーショントランスですが、それだけでなく、電源の非平衡−平衡変換をしています。壁コンセントの電圧は0V〜100Vを行ったりきたりしている非平衡交流ですが、BIT-15を通ることで、それがゼロVを挟んで-50V〜+50Vを行き来する平衡交流に変換されます。飛び込んできたノイズは+側と−側とでは反転した波形になるので、回路を一周りする間に自分自身が足しあって消えてしまいます。また、電源のエネルギーは+側と−側の線を通りグラウンドには流れてきません。つまりグラウンドと電力ラインが分離されることでグラウンドが安定します。これがグラウンドループ起因のノイズを防いでくれるので、トータルとしてかなりなノイズ低減につながるのです。いつもは脇役のBIT-15がここでは主役級の働きでした。CDにも良い音で収録してありますが、NML、Qobuz、mora他では、Hi-res音源もお聞きいただけます。再生装置をお持ちの方はそちらで更に良い音でお聞きいただくこともできます。とにかく、フランス(とその周辺)のバロック作曲家の素敵な楽曲と、優れた3人のアーティストの演奏を、たっぷりとお楽しみください。
Photo by Kazuhiro Kobushi