詳細情報
クラリネットデュオ Vol.2 加藤京子&横田揺子
古楽器・現代楽器によるクラリネットの時間旅行
加藤京子(クラリネット modern・period/バセットホルン period)
横田揺子(クラリネット modern・period/バセットホルン modern・period)
深見まどか(ピアノ)
ALQ-5401 / 74min Stereo / CD・配信 2025年7月25日発売 税込¥2,530販売:アルブレー扱い
JAN/EAN 4560205950174
解説:加藤京子・横田揺子(日本語)
2023年10月、本邦初演となるピリオド楽器での『J.S.バッハ《マタイ受難曲》メンデルスゾーン1829年版』を演奏した際、指定された「ピリオド・クラシカルバセットホルン」を手にし、この楽器の特徴的な外観・色彩、音色・響きなどに強く惹かれ、より深く知りたい、そして演奏記録として残しておきたいという気持ちが高まり、本アルバム制作への着想となりました。歴史的な背景から演奏家と作曲者の関係に注目してバセットホルンとクラリネットの名曲を選曲しています。
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[収録曲目]
1-2. | C.Ph.E.バッハ | 2本のクラリネットのための二重奏曲 Wq142[H636] |
Adagio e sostenuto Allegro (period-Cl. 1.Yokota 2.Kato) | ||
3-14. | W.A.モーツァルト | 12の二重奏曲 KV487(496a) |
1.Allegro 2.Menuetto 3.Andante 4.Polonaise 5.Larghetto | ||
6.Menuetto 7.Adagio 8.Allegro 9.Menuetto 10.Andante | ||
11.Menuetto 12.Allegro (period-Basset Horn 1.Yokota 2.Kato) | ||
15-18. | A.シュタッドラー | 2本のクラリネットのための二重奏 |
1.Moderato 2.Romanze 3.Menuetto 4.Rondo | ||
(period-Cl. 1.Yokota 2.Kato) | ||
19-21. | F.メンデルスゾーン | 演奏会用小品 第1番 op.113 |
Allegro con fuoco Andante Presto | ||
(modern-Cl.Kato BH.Yokota Pf.Fukami) | ||
22-24. | F.メンデルスゾーン | 演奏会用小品 第1番 op.114 |
Presto Andante Allegretto grazioso | ||
(modern-Cl.Kato BH.Yokota Pf.Fukami) | ||
25-32. | C.ベールマン | 協奏的二重奏曲 作品33 |
Andante Maestoso TEMA Molto moderato | ||
Var.I. Var.II. Var.III. Maggiore Minore Var.IV. | ||
Rondo (modern-Cl. 1.Kato 2.Yokota Pf.Fukami) |
[演奏者プロフィール]
加藤京子 かとうきょうこ(クラリネット)
京都市出身。武蔵野音楽大学、同大学院修了。NTTドコモ奨学金受賞。ドイツへ留学。国立ミュンヘン音楽大学(マスターディプロマ)修了。クラリネットをU.ローデンホイザー、K.ベルケシュ、山本正治、黒岩義臣、柳瀬洋の各氏に、ピアノを江口洋子氏に師事。これまでにヨーロッパや国内でリサイタル協奏曲、室内楽の演奏活動を行う。ミュンヘン大学や初リサイタルでの演奏は「音楽の友」などで高評価を得る。文化庁芸術祭参加公演ではローデンホイザー氏と共演、武蔵野音大、大阪音大、京都堀川音楽高校での公開講座では通訳を務めた。2008年よりピアニスト川口容子とともに「KYOの響」を主宰し、クラリネットを含む室内楽曲を紹介すべくシリーズ企画として継続している。2018年より古楽器演奏にも携わりテレマン室内オーケストラの公演に参加.CDはユーロアート(プラハ)より『モーツァルトのクラリネッ ト五重奏曲』、大阪音大研究助成による『リサイタル「6人の作曲家」全作品初演』、『演は縁/KYOの響 - クラリネットとピアノ編曲アルバム』、『古楽器・現代楽器によるクラリネットの時間旅行』をリリース。京都音楽院講師。
横田揺子 よこたようこ(クラリネット)
東京都葛飾区生まれ。東京藝術大学音楽学部卒業後に渡欧し、国立ミュンヘン音楽大学(マイスターディプロマ)、バーゼル市立音楽院(コンツェルトディプロマ)修了。クラリネットを小林利彰、村井祐児、山本正治、G.シュタルケ、F.ベンダの各氏に、室内楽をS.アッツォリーニ、E.アッビュール、R.グライス-アルミンの各氏に師事。1997年ヤマハ新人演奏会出演。2005年東京文化会館にて日本演奏連盟・文化庁主催のソロリサイタル開催。2007年(東京、沖縄)、 2021年(東京)にて室内楽リサイタル開催。 CD『音楽定食(アンサンブルogts)』、『CAMINO(トリオダンシュSUAVE)』、『古楽器・現代楽器によるクラリネットの時間旅行』をリリース。室内楽での活動の傍ら古楽器演奏にも携わり、クラシカル・プレイヤーズ東京、バッハ・コレギウム・ジャパン、リベラ・クラシカ、テレマン室内オーケストラ等の公演に出演。近年は子供のための管楽器教育法の研究にも力を注いでいる。一社)日本管楽器早期教育研究所代表理事、一社)日本クラリネット協会常任理事、東京藝術大学音楽学部国際交流担当特任准教授。 Photograph © Ayane Shindo
深見まどか ふかみまどか(ピアノ)
京都府出身。東京藝術大学付属音楽高等学校、同大学を経て、パリ国立高等音楽院修士課程を首席修了。青山音楽賞新人賞、ロンティボー国際コンクール第5位&最優秀ラヴェル作品演奏賞、ブゾーニ国際コンクール最優秀現代音楽作品演奏賞など多数受賞。ピリオド楽器演奏から現代音楽初演まで多彩に活動し、とりわけフランス近現代作品への評価が極めて高い。2019年、ドビュッシーピアノ作品全曲演奏リサイタル(ヤマハミュージックジャパン主催)を成功させた。ソリストとしてパリ室内管、ポルト国立管、パドルー管、東京フィル、芸大フィル、関西フィルなどと共演。NHK-Eテレ「クラシック音楽館」では、松平頼則「主題と変奏」のソリストを務めた。CD「ドビュッシー12の練習曲/ラヴェル鏡」「ヴィルトォーゾ」は2枚共にレコード芸術誌特選盤に、最新CD「間の礼讃」は、音楽現代誌、レコード芸術オンラインにて共に推薦盤に選出された。2024年の東京オペラシティ「B→C」シリーズリサイタルは、「音楽の友」誌にて「作品の根底にある意図と創意を際立たせるすさまじいピアニズムの応酬に慄然とする」と評された。現在、大阪教育大学ピアノ科非常勤講師。
[使用楽器]
- Schwenk & Seggelke
- Clarinet in B♭(period, after H.Grenser
- Basset Horn (period, after Hammig Jr.)
- Clarinet in B♭(modern, model 1000)型
- Herbert Wurlitzer
- Clarinet in B♭(modern, 100cs)
- Basset Horn (modern)
- KAWAI DIAPASON
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2024年3月7日〜8日 フィガロホール(大津市)
- [ 5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- DCアンプマイク(改良型金田式) Schoeps MK2H 無指向性カプセル装着
- 設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ), 2013年作, 2018年改造型
- セッティング
- Pair microphones A-B Stereo
- プリアンプ
- PT-MPP02 DCアンプマイク専用 非平衡−平衡変換アンプ及び高品位電源
- 設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ), 2017年
- ADコンバータ
- Mytek Digital Brooklyn ADC
- レコーダー
- TASCAM DA-3000
- マスタークロック
- Grimm Audio CC2
- AC電源コンディショナ
- Waon BIT-15 Balance Power Supply
- DSD to PCM converter
- Weiss Saracon-DSD
- Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Piano tuning and maintenance : Eiji Ota 大田英史
- Photograph : Umihiko Eto 江藤海彦
- Cover Design : Takafumi Tsuchiya 圡屋多加史
- Special Thanks to
- Yoko Kawaguchi 川口容子
- Satoshi Kaneko 金子理志
- Masahiko Sakamoto 阪本正彦
[録音のこだわり]
いわばVol.1であるクラリネットデュオ(ALQ-4848)は、East Powerの東主税技師による優れたマルチマイク録音・マスタリングでしたが、このVol.2は録音からマスタリングまですべてワオンレコードの小伏が担当してペアマイクで収録しています。クラシカル・クラリネットや、ピリオド楽器としてのバセットホルンがこのアルバムでは重要な位置を占めていますから、まずそれを鮮明に録ること、集中力が研ぎ澄まされながらも優しさに溢れたお二人のハーモニーをあますところなく捉えることが命題です。偶数次倍音も奇数次倍音も豊かな楽器ですし、ピアノの方も20世紀頭のディアパーソンで、名調律師の大田さんが見事な倍音に揃えてくださっているので、そりゃあもうアンサンブル全体が美しいのです。それとは裏腹にこれをきちんと収録することはなかなかハードルが高い。マイクの数が増えるほど収録する倍音の純度が下がっていきます。理想的には1本のマイクでモノラル録音が最も美しく録れるのですが、ステレオにするのは最低2本が必要。もともとこういった音源が得意なDCアンプマイク2本を慎重にセッティングしました。写真でご覧になるとわかるようにマイクは楽器の方を向いていません。楽器の少し上の空間を狙っています。ハーモニーは楽器のそばでなく周りの空間にあるからです。せっかくマイクで拾った美しい倍音も、録音機のところで正しく取り込めないと意味がありません。デジタル信号が正しいタイミングで生成されないと倍音の純度はすぐに下がってしまいます。Grimm AudioのマスタークロックCC2から基準タイミングをレコーダーに入力し、この問題を抑えています。ここまでくれば、あとは演奏者がより良い演奏ができるようにセッションを楽しく進めていくだけです。美味しい食べ物や飲み物を差し入れて下さる方々に恵まれ、そちらの方も問題なく進めることができました。お二人の音色を楽しんでいただければ幸いです。