詳細情報
リコーダーによるオトテール作品集
本村睦幸(リコーダー)
上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 郡司和也(チェンバロ)
WAONCD-590 / 72min Stereo / CD(HQCD) 2024年11月16日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956596
WAONCD-590 / 〜Hi-Res 2025年1月3日配信開始 JAN/EAN 4560205956596
Apple Music / iTunes 2024年11月16日配信開始 / Naxos Music Library Japan 2025年1月3日配信開始
WAONCD-590G(海外版) / 〜Hi-Res 2024年12月20日配信開始 JAN/EAN 4560205958491
※配信サービスの料金は、各配信サービスのサイトでご案内をご確認下さい。
解説:関根敏子(日本語、英語)
日本のリコーダーの名手 本村睦幸が、2024年のジャック・オトテール生誕350年を機にリコーダー奏者の立場からその魅力を浮かび上がらせようとするアルバム。楽器製作家 斉藤文誉により、可能な限り当時の仕様に忠実に再現されたシングルホールのリコーダーを用い、オトテールの残した運指に則って演奏。名手 上村かおり、郡司和也の共演を得、音ひとつひとつがさまざまな色彩と陰影に富む魅惑の音世界をお楽しみください。カスタムメイド電流伝送マイクと5.6MHz DSDによる高音質録音です。
[収録曲目]
ジャック・オトテール ”ル・ロマン”
- 組曲 作品5の2 ハ短調 *2 †3
- プレリュード Lentement – Vivement
- アルマンド Tendrement
- サラバンド
- メヌエット I - II – I
- ガヴォット Tendrement
- ロンドー
- ジーグ
- 8. ジャン=バティスト・ド・ブセ:「私のため息、私のやるせない恋の言葉」 *4 †1
- 組曲 作品2の1 へ長調(原調:ニ長調) *1 †1
- プレリュード Lentement – Gay
- アルマンド 「王家」 Gracieusement
- ロンド 「オルレアン公」 Gay
- サラバンド 「アルマニャック伯」
- ガヴォット 「ムードン」
- メヌエット 「ブリオンヌ伯」 I - II - I
- ジーグ 「陽気」
- 16. プレリュード ト短調 *3 †2
- 17. ミシェル・ランベール:「岩山よ、おまえたちには聞こえないのか」 *4 †2
- 組曲 作品2の3 変ロ長調(原調:ト長調) *1 †2
- アルマンド 「サン・クルーの滝」 Piqué
- サラバンド 「ギモン」
- クーラント 「無関心」 Legerement - ドゥーブル
- ロンドー 「嘆き」 Tendrement
- メヌエット 「愛らしい子」
- ジーグ 「イタリア風」
- 24. すべての音度上の終止形を含むプレリュード ト短調 *3 †2
- 組曲 組曲 作品2の5 ト短調(原調:ホ短調) *1 †2
- アルマンド 「ショーヴェ」
- 「メサンの人」
- ロンドー 「いたずらっ子」
- ジーグ 「ペルージュの人」
- 組曲 作品5の3 へ長調(原調:ニ長調) *2 †1
- プレリュード Lentement
- アルマンド Gay
- クーラント
- グラーヴ
- ジーグ
- 34. ジャン=バティスト・ド・ブセ:「どうして? 優しい小夜鳴鳥よ」 *4 †3
*1 “トラヴェルソとその他の楽器のための通奏低音を伴う曲集第1巻作品2新版”(1708/1715)
*2 “トラヴェルソとその他の楽器のための通奏低音を伴う曲集第2巻作品5”(1715)
*3 “トラヴェルソ、リコーダー、オーボエや他の高音楽器によるプレリュードの技法作品7”(1719)
*4 “トラヴェルソの2重奏、3重奏用に古今最高の作曲家たちから引用したエールとブリュネット集”(1721)
演奏ピッチ:a’=396
[演奏者プロフィール]
1980年代のアムステルダムに学んだ日本の名手、本村睦幸は、アルバム〈無伴奏リコーダー600年の旅〉(WAONCD-140)で聴かれるように、中世から現代音楽までの幅広いレパートリーを持つが、近年は特に、盟友のリコーダー製作家、斉藤文誉が18世紀リコーダーの最新の調査に基きオリジナル通りのピッチや運指で作る楽器の数々を愛用し、それにふさわしいレパートリーを探求している。ワオンレコードからの7番目リリースとなる本アルバムでは、新たに製作されたフランスのリコーダーのコピーを用いるなど、その成果が反映されている。
ヴィオラ・ダ・ガンバの上村かおりは、東京とブリュッセルで学び、現在はブリュッセルを拠点に、全ヨーロッパのみならず、南北アメリカ、アジア、オーストラリアの各地で活躍している。リチェルカール・コンソート、レザール・フロリサン、レ・タラン・リリック、ル・ポエム・アルモニク、オランダバッハ協会など著名な演奏団体との共演も多い。近年は《優 Yuu》、《鏡 Kagami》と題したアルバムをリリースし、ソリストとしての新境地を開拓中である。
チェンバロの郡司和也は、東京藝大とリヨン国立高等音楽・舞踊学校で学び、2010年にはブルージュ国際古楽コンクールでチェンバロ部門の最高位を受賞した。現在はリヨンを拠点とし、オーヴェルニュ室内管弦楽団、トゥーロン・オペラ座、サンテティエンヌ・オペラ座をはじめ、フランスの複数のアンサンブルと定期的に共演するほか、2018年にはラジオ・フランスのスカルラッティ全曲録音のソリストの一人として抜擢されるなどソリストとしての活動も広げている。
[使用楽器]
†1 Recorder in f’: Fumitaka Saito 2023 Amsterdam, copy after anonymous French alto
†2 Recorder in f’: Fumitaka Saito 2023 Amsterdam, copy after Jean-Jacque Rippert alto
†3 Recorder in c’: Fumitaka Saito 2016/2023 Amsterdam, copy after Thomas Stanesby Jr. b flat tenor shortened to c
Viola da gamba: François Bodart 2000 Beez, copy after George Gibs converted to 7-strings
Harpsichord: David Ley 1985 Paris, copy after François-Étienne Blanchet
Photograph by Kazuhiro Kobushi
[Recording Data]
- 録音日時・場所
- 2023年7月25日〜27日 品川区立五反田文化センター 音楽ホール
- [ 5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
- 使用マイク(ステレオペア)
- PureT Records 電流伝送型マイクロホン Schoeps MK2H 無指向性カプセル
- 設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2018年バージョン
- セッティング
- Pair microphones A-B stereo
- プリアンプ
- PureT Records PT-CMP01
- 設計・製作 : 毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2016年バージョン
- ADコンバータ
- Mytek Digital Brooklyn ADC
- レコーダー
- TASCAM DA-3000
- マスタークロック
- Grimm Audio CC2
- AC電源コンディショナ
- Waon BIT-15 Balance Power Supply
- DSD to PCM converter
- Weiss Saracon-DSD
- Excutive Producer, Recording & Editing : Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
- Artists Management : I.Y.Management
- Assistant Director : Mizuho Doi 土居瑞穂/Maya Nozaki 野崎真弥
- Harpsichord tuning and maintenance : Takashi Ikesue 池末 隆
- English Editing/Translation : David Sprague デイビッド・スプレイグ
- Photograph : Lyuta Ito 伊藤粒太(Studio LASP)
- Cover Design & Art Works : Masako Saimura 才村昌子
[録音のこだわり]
本村睦幸さんのアルバムの収録にはいつも、細かい音を揺らすニュアンスや素早い指遣いをクリアに収録するためにDCアンプマイクシステムを使ってきましたが、今回オトテールというどっぷりフレンチな作曲家の作品を集めたアルバムということと、本場ヨーロッパを中心に多くのフランス音楽を演奏されている上村かおりさん、郡司和也さんがご一緒ということで、音場に天井の高さが欲しいと考え、音場の切り取りのスケールが大きい電流伝送マイクシステムを使って収録しました。マイクカプセルには無用な輝きを加えないように中距離用の高音域弱補正型の無指向性カプセルを使用しています。高さを生かした響きによって、陰影と輝きの変化に富んだ、オトテール独特の音楽感がうまく収録できたように思います。今回の収録のために用意された3本のリコーダーも、それぞれに個性的な音色を持つ楽器ですが、その特徴が深い響きの中でも明らかに捉えられています。よく調整されたオーディオシステムで再生されると、わざわざ演奏位置の高さに変化を持たせた3人の演奏が立体的に表現され、舞台や客席の天井の高いところへ広がる響きを存分に楽しんでいただけると思います。ある程度響きのある部屋に設置されたスピーカーで再生されると、空間の立体感がより楽しめるのではないかと思います。とはいえ、再生装置にはこだわらず、素敵な演奏をまずはたっぷりとお楽しみください。